ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

アルマゲドン2009

f:id:public-technocut:20160501204621j:plain

あらすじ

「彗星の直撃で地球の磁場がヤバい」

 

 本作では彗星が地球に衝突したことによりアラスカが吹っ飛び、地球の地軸がずれてしまう。中学校の頃に習った理科の知識が正しければ、地軸がずれた時点でもう地球滅亡じゃねえかと思うのだがおそらく日本の教育が間違っていたのだろう。地軸が無くても地球は回る。偉大なるUSAの科学には脱帽するばかりである。

 

 地軸がずれた影響で、世界各地で磁場が発生、世界各地でオーロラが出現したり、クジラさんが陸に打ち揚げられたり色々おかしなことになってくる。あげくこのまま事態を放置していれば、北極と南極が入れ替わる「転極現象」が起こり、地球を守る「磁気シールド」が消滅して人類は焼け焦げて死んでしまうという結論に達する。この説明の際に「太陽粒子」「静電放電」「磁場フィールド」といった用語が多用されるが、ここから科学に疎い一般人を騙くらかす詐欺商法に近い臭いを感じてしまうのは私の低学歴が原因なのだろうか。

 

 政府は解決案を策定。「彗星が衝突した反対側で核兵器をつかって地軸を元に戻そうぜ」という案はシンプルイズベストである。目には目を、力には力を。ここまで雑な運用をされてはハンムラビ法典もさぞかし本望であろう。しかし核兵器を積んだ爆撃機は磁場により墜落してしまう。

 

 じゃあどうするかと政府がひねり出した第2案は「潜水艦でマリアナ海溝に潜って核を起爆しようぜ」というものである。なぜマリアナなのかの説明は一切無い。ちなみに潜水艦が潜れる深さは種類にもよるが大体500mぐらいである。一方マリアナ海溝の深さは10,911mである。この具体的数値を前にすれば本案がいかに実現可能性あふれる知性的な作戦であるかが理解できるだろう。

 

 なんだかんだでこのろくでもない作戦は成功する。使用されたのはロシアの強力な潜水艦で、乗員はウォッカが大好きとのこと。ロシア軍とウォッカの相乗効果は人類の恐るべき潜在能力を覚醒させるものがあるのだろう。エンジンの片方が潰れようが、海底火山噴火の直撃を受けようが大したダメージも無く無事帰還するキャスト達の姿を見ると、もうなにもかもがどうでもよくなってくる。

 

 ところで本作では家族愛を描こうと感じられるフシがあった。主人公の男性科学者は父親の軍人と5年間会っておらず、この作戦を通じて仲直りする。しかしどういった原因によって親子に確執が生じたのかについて全く説明が無いため感情移入もなにもあったものではない。主人公の妻と息子にしてもそうである。妻は後妻で、息子とは義理の母子の関係になる。主人公も彼らの関係改善を望む発言をするのだが、本作ではまともな感情劇は展開されず、田舎道をちんたらドライブして終わりという尺稼ぎに利用されただけの哀れなピエロとしての存在価値しか彼女たちからは見いだせない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上