ワンコイン・ムービ-レビュー

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アルマゲドン2010

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あらすじ

「地球に迫る隕石に対し、世界各国軍による核攻撃が行われる。隕石は破壊されたかと思われたが、それは無数の破片と化して地上を襲い始めた。」

 

 本作でまず評価したいのは、疑似科学的な用語の仕様があまりみられない点である。とりあえずわけのわからない意味ありげなワードでそれっぽい雰囲気を出して視聴者を騙くらかそうとする卑怯な方式に逃避しなかった点は賞賛に値する。しかし本作を一言で評価するとすれば「惜しい」の一言である。

 

 主人公の男性は政府筋に人脈があるという設定だが具体的な職業は不詳である。彼は隕石破片によって汚染された水道水によって病気になり隔離された娘を救うために奔走する。彼は知人の学者が残した一枚のボロボロのメモを元にして、中学校の理科準備室のごとき充実した設備のある場所でいとも簡単に治療薬を調合する。この治療薬を娘のいる収容所に届けようとするのだが、その道程は愚かの一言に尽きる。そもそも本作では通信は壊滅したわけではなく機能している。ならば通信により治療薬の製法を当局に伝達すればすぐに娘は救われるだろう。日頃からつちかった人脈はこういう時のためにあるのではないか。しかし彼は当局の存在を無視し、ほぼ徒歩でアメリカ国土を踏破し収容所へと向かう。あげく道中で偶然出会った女性を巻き込んだあげく死亡させるというファインプレイには無能の烙印を捺さざるを得ない。

 

 行政サイドのキャラクターも残念である。疫病センターの管理職は、感染者を見捨てろと横柄に言い捨てる上司に対し高潔に反論、市民を救うべく指揮をとる。しかし彼はあっという間に左遷され画面から消滅してしまう。彼の活動については、裏で頑張っているらしいということがモブキャラの口から語られるのみである。その活躍こそ是非描写していただきたいポイントであるのに、それがなされなかった点については残念でならない。

 

 隕石が降り注ぐ中、4WDで荒野を疾走するシーン。暴徒化した集団がバギーに乗って襲い掛かってくるシーン。息子を助けるべくピストル一丁で危険地帯に戻ろうとするFBI捜査官。本作はこれらのような脇を固める良い素材を用意しておきながらそれを活かしきれていない。

 

 本作はまず登場人物の整理、特に主人公の低脳改善を最優先としたキャラクタライズを行い、ストーリーを単純化すれば化けるのではないかと期待が膨らむような作品であった。もちろんこれらは私というド素人が上から目線で勝手に言っている、制作サイドからみれば怒られても仕方がない提案だろう。だが本作を一概に駄作にカテゴライズする気には私は到底なれない。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上