ワンコイン・ムービ-レビュー

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JIGSAW デッド・オア・アライブ

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あらすじ

「可哀想な女性がクソ野郎に虐待されて奴隷にされる」

 

 本作の主人公は子持ちの女性。ある日彼女が目覚めると棺桶の中に監禁されていた。やがて糞みたいな変態男が現れて彼女を木に吊り下げ首吊り状態にしてこう呟く。「助かりたければお前の腹の中に埋め込んだカミソリを使ってロープを切れ」。何が悲しくて300年前の極東武人のような真似をしなければならないのか可哀想でならないが、娘に会うために、主人公は痛みをこらえてこの苦痛を乗り越える。するとクソ野郎は「お前の家族は俺だけだ」とバグった発言をブチかまし彼女を奴隷化する。

 

 娘に再会したい一心で彼女はクソ野郎に服従する。わけのわからん草の手入れを命じられたり、ゲロみたいな汚れのこびりついた鍋を洗わせられたり、あげく入浴はガンジス川の様に美しく濁った池で身体を拭くだけという充実した福利厚生付きである。やがて主人公は脱走を試みるが、クソ野郎に捕まり足の骨を折られ「娘はいない」と告げられ絶望する。

 

 幾日かが過ぎた後、新たな奴隷が連行されてくる。彼女はこの状況を受け入れることができず、パニック状態に陥り泣き叫ぶ。無理もない当然の心理現象であるが、クソ野郎は「うるせえ」の一言で彼女の舌を切り落とし、たき火の中に放り込む。非常に自分勝手でエグい行動である。

 

 しばらくは主人公と舌切り姉ちゃんはおとなしくしていたが、やがて舌切り姉ちゃんはストッキングの中に石を詰め、即席のブラックジャックを作成。それでクソ野郎を殴打して脱出を試みる。しかしながらクソ野郎はライフルを手に取り追跡を開始、哀れ舌切り姉ちゃんは凶弾に撃ち抜かれ最期を遂げる。

 

 逃げ遅れた主人公の前にクソ野郎が戻ってくると、彼はいきなりバグりだした。「全て終わりだ、台無しだ、俺を殺せ!すべてはあの女のせいだ!」いや、どう考えても悪いのは貴様だろうと言わざるをえない。もはや論理もへったくれも無い。自分が不法に拉致監禁虐待した女性に報復を受けたことをまるで悪徳の栄えのごとく罵るその様は見ていて非常に不愉快である。結局クソ野郎は主人公の振り下ろした鉄パイプによって惨めに死ぬ。

 

 そして帰路を探そうと歩み出した主人公の目の前に一軒の小屋が見えてくる。その中を見てみると、そこには死んだはずの娘がいるではないか!彼女は愛娘の姿を見て狂喜し、娘を助けるべくドアを開ける。しかしそこにはクソ野郎のクソトラップがしかけてあり、ドアが開いた瞬間に釘が散弾の様に主人公に撃ちこまれる。結果彼女は無数の釘を顔面に浴びて目を潰され、娘の姿を見ることも、脱出路を探すこともできなくなり悲哀の叫びをあげてスタッフロールである。

 

 本作の悪役であるクソ野郎が犯行に及んだ動機がまったく明かされていないというのが非常に不満であった。自分勝手で理不尽な理由で女子供といった弱者をいたぶる映像を90分見続けるというのは私にとっては実に胸の悪くなる時間だった。もちろんこういった残虐理不尽系の映画に需要があることはわかっているし、そういった作品の中からは何かしらの虚無的な感想を抱く人々もいるのであろう。そういった方々に対しては本作はまあ星3つの評価に値するかもしれない。しかし私には到底受け入れられない。

 

 唯一の救いどころは主人公の女優の演技である。彼女が演じる絶望の表情は真に迫るものがあったし、何よりもクソ野郎に「娘はもういない」と告げられた後の怒りの表情は言葉では言い表せない迫力がにじみ出ていた。彼女の演技力に敬意を表して、本作の評価を以下の通りとしたい。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上