ワンコイン・ムービ-レビュー

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アイス・コング

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あらすじ

環境保護活動家(笑)が密猟者と一緒にヘラヘラしながら旅をする」

 

 主人公のブロンド女は、バールを片手に敵対集団にカチコミをかける類の動物保護団体の構成員である。彼女は仲間からも「お前は過激派かよ」とハブられたあげく、父親からは「いつまでも夢ばっか追いかけてないで結婚して家庭を持て」とウザいアドバイスを被弾している。

 

 彼女のライバルとなる動物密輸業者の革ジャン着たハゲは、変な博士に密猟した猿を供給して結託している。博士は言う。「昏睡状態の猿が血清で目覚めたら巨大なマーケットができるぜ」。私は生物工学に関して無学なため何とも言えないが、猿に血清打ち込むより、この博士の頭部に銃弾を撃ち込んだ方がはるかに有益な研究費の使い方であると感じた。なおこの博士は闇で暗躍するわけでもなく10分ぐらい出演してモニターから消える。

 

 舞台は変わって場末のバー。そこでは主人公の父親がハゲ革ジャンと飲んだくれていた。父親は言う。「体長18mのアイス・コングを探す幼稚な冒険の旅に乾杯!」。これでよく娘に夢がどうの結婚がどうのと言えたものである。彼は冒険の旅に出ることは無く、ハゲ革ジャンに殺される。父親を捜しにやってきた主人公はハゲ革ジャンに捕まる。そして始まる。冒険の旅が。約1時間のそれはハゲ革ジャンと主人公のヒステリーによって大部分が構成される絶望的戦闘である。

 

 とりあえず感情表現してれば給料もらえるやろレベルで、彼らは叫んだり泣いたりする。これを視聴する人間の神経が刻一刻と魂の芝刈り機に巻き込まれていくことは自明であろう。特にハゲ革ジャンは常軌を逸している。ナチュラルにだらしなく開いた口、焦点の定まらない目。こいつ普通にラリってんじゃねえのと私は思った。主人公も負けてはいない。雪で足を滑らせてカメラのストラップが首に引っかかってグエーというシーンでは舌を出したアホ面で世界に元気を届けてくれる。こんなもんもらってもうれしくはないし代金は着払いである。

 

 そうこうしているうちにアイス・コングがやっと登場する。しかしそれはあっけなく捕まる。ハゲ革ジャンがSMプレイ用の赤いロウソクみたいな麻酔弾を連続でぶち込んで終わりである。まあなんて大迫力なんでしょう。そして捕まえたアイス・コングは逃げ出す。

 

 米軍は「都市部に上陸される前にF-16戦闘機で狙撃するんだ!」と指示を出し、部隊は出動する。そして映し出される米空軍。それはF-5戦闘機だったりF-15戦闘機だったりF/A-18戦闘攻撃機だったりする。Where is F-16。シーンが切り替わるごとにパイロットは機種転換訓練を受けているのか。エースコンバットでもこんなに便利じゃねえぞ。なお米軍はアイス・コングの周りを飛び回るだけで積極的な行動はとらない。

 

 その最中、主人公は叫ぶ。「私の話ならアイス・コングは聞いてくれるわ。私だけが彼を理解できるの」。主観のみに頼った根拠薄弱な自己過大評価。まさしく環境テロリストに似つかわしい思考力である。彼女は飛行中のヘリコプターから生身でジャンプしてビルに飛び移り、アイス・コングと合流する身体能力を発揮する。

 

 彼女はアイス・コングに語りかける。「あっ、ども。帰りたいよね?計画とかある?どうすればいいのよ!早く走れ!」。逆ギレからの命令。可哀想なアイス・コングはこのヒステリーババアにより街を疾走したあげく、米軍から散発的な銃撃を受けて海に落下してどっかに消えた。断言したい。本作の主人公と結婚するぐらいならオープンカーにダッチワイフをのせてハワイ一周する方がマシである。なおハゲ革ジャンは脇役の兄ちゃんにキンタマを蹴り上げられ、麻酔弾の暴発を受けて無事死亡した。

 

 アイス・コングは戦闘民族でも何でもない、ただの山奥で平和に暮らしていた雪男である。それがハゲとヒスによって無理やり連れだされて米兵に撃たれる。このストーリーを考えたバカはいったいどこに盛り上がりや魅力を設定したつもりなのか。私の低レベルな脳みそではわからなかった。本作はしょうもない拉致監禁劇である。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上