ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

グリズリー・プラネット

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あらすじ

「ウォーキング動画以下」

 

 西暦2068年、インドとパキスタン核兵器で遊んだりしてたら環境がガッデムになってしまったというのが本作における宇宙船地球号である。あるわけのわからん企業は「植物のある惑星を発見した→植物から酸素がとれる→大儲け待ったなし」の論理式を構築、その惑星に「酸素」という安直な哲学的命名を行う。その「酸素」は地球から2万光年離れているため、DNAをカードにしてブラックホールにブチ込みワープするという斬新な働き方改革によりクルーは旅立つ。

 

 パッケージの通り、「酸素」はクマさんに支配された星である。ちなみになぜクマしか野獣がいないのかは説明無しである。ではそのクマさんの迫力ある襲撃描写はどのようなものか。それは動物園だかサーカスだかからパクってきたのだろう、クマが立って吠えている同じ動画を使いまわすという経営学的な資源の有効活用法である。これがシナジーというやつなのだろうか。絶対に違うだろう。

 

 カメラワークも素晴らしい。特に意味も無く早送りしたり画面分割したり、やたらとクマ視点の、プレデターを意識した様なカットがぶち込まれる。意図はないけどとりあえずやってみました感が半端ねぇこれらの技術はまさに芸術である。

 

 そして魅力ある登場人物たちの演技力が炸裂する。デブの弁護士が体力切れでヘタれて仲間に置いてけぼりをくらったあげくクマに食われるシーン、護衛のオッサンがナイフ1本でクマに立ち向かい「HA!HA!」と無益なテンションと共にかみ殺されるシーンなど枚挙に暇がない。使い古しのクマの映像が流れた直後にオッサンたちが悲鳴を上げる、このくだらない古典芸能を死んだ目で鑑賞する時間は非常に有益である。

 

 中盤を過ぎたころ、旅の真の目的が明らかになる。それは「酸素」に存在する「細胞を復活させる液体」というもうちょっとひねれや的チートアイテムを手に入れるためだったのだ。企業の社長は「万能細胞は、ありまぁす。それはワシが独り占めするんじゃ!」と洞窟内をダッシュした後、クマにビンタされ無事斬首された。ラストは護衛のオッサンと女学者が適当に生き残ってエンドである。

 

 使いまわしのクマに対して場当たり的に発砲する迫力満点の銃撃シーン。個性も活躍もゼロのキャスト。中身のないストーリー。本作を見るぐらいなら、幼稚園児が演じる森のくまさんを鑑賞する方がはるかに目の保養となるだろう。

 

 以下は映画の評価に関係ないつまらん考察であるが、本作ではS&Wのマグナムリボルバーを1、2発胴体に撃ちこんでクマを倒すというシーンが連続してみられた。しかし「酸素」においては有効かもしれないが、ストッピングパワーの観点から「クマはピストル2発ぐらいで死ぬぜ!」などという誤解は少なくとも地球においては厳禁である。かつて月刊Gunという凄まじく直球なネーミングの雑誌で、クマを野生に返す仕事をしているおっちゃんがグリズリーに襲われた際に、.357マグナムを6発頭部に撃ちこんでようやく助かったという記事を見た記憶がある。何が言いたいのかわからなくなってきたが、とにかく読者諸兄はクマと対峙する際、ピストルよりライフルを選択してほしいとそれだけである。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上