ワンコイン・ムービ-レビュー

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プラネット・オブ・ロボット

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あらすじ

「薄毛の惑星」

 

 枯れかけた芝生の様な頭髪を装備したオッサンが地球から20光年離れた惑星へ向かって宇宙飛行!しかし実はその宇宙飛行は失敗していて、オッサンは未来の荒廃した地球でレスキューを叫ぶことになる・・・という本作が『猿の惑星』の量産型劣化版であることは自明である。

 

 80分間オッサンが時折「マジかよ」とつぶやきながらウォーキングする、本作はただそれだけの毒にも薬にもならない動画である。

 

 本作の愚行として指摘すべきは状況描写について映像言語で語らず「ぼくのかんがえためっちゃすごいりろん」をタラタラと演説するところである。

 

 「地球の軌道上にデバイスA・Bを打ち上げた後、デバイスBを調査対象惑星へ航行させる。地球軌道上のデバイスAと調査対象惑星軌道上のデバイスBのリンク成功。無人探査機によるテスト飛行も成功。さあ次は薄毛!お前の番だ!おおっとここで実はデバイスBが軌道に乗っていなかったことが判明!薄毛は太陽系を5周しているぅ!」

 

 この文脈破綻したバックグラウンドが、パワポに毛が生えたイラストと文章そして無線という名の説明台詞によって語られるのである。

 

 要するに本作の時系列を整理すると、デバイス接続失敗→薄毛遭難→デバイス接続→逆に接続先の宇宙人から攻撃されて人類滅亡→薄毛地球に帰還、という流れになる。

 

 かつて漢字検定の勉強で「迂曲」という単語を見た時、「こんな単語日常で使わねえだろ」と思ったがそれは間違っていた。本作を一言で表せと言われたら、私は迷わず即座に「迂曲」と答えるだろう。それほどまでに本作の弛緩したエクスキューズは擁護のしようがない。

 

 宇宙人を調査してやるぜと思っていたら逆に調査されたあげくボコられたぜという状況描写からは、人類が自らの科学文明に対して抱く傲慢を推察すべきなのだろうか。たとえそうだとしても、本作には主義主張を人々の魂に持続させるほどの訴求力はない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上