ワンコイン・ムービ-レビュー

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ソーラー・ストライク セカンド・メルトダウン

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あらすじ

「少年の可堕性に係る寛容の必要」

 

 本作モブの前科持ちイケメンは、主人公の娘と付き合っている。娘は17歳でそれより少し年上らしいのでせいぜい20歳近辺だろう。なら彼の前科とやらもせいぜいマリファナすって近所のポリスメンにしばかれたレベルのものであると推察する。彼はパニックムービーにおいて大量生産されるT-54/55のごときクズとは一線を画すTR-85の様な精悍な姿で悪党どもに立ち向かう。

 3人の暴漢に彼女が襲われたときも、我が身を顧みず戦い、浮浪者の奇襲にも動揺せず彼女の盾となる。ラスボスとの決戦でも、ろくに訓練も受けてないのにピストルで特攻して主人公を援護、ラスボスに手傷を負わす殊勲を挙げる。

 

 ここで少し考えて欲しい。「前科者」、この言葉がどれだけ漠然としたものであるかについて。我が国において刑法犯の6~7割は窃盗や無銭飲食等の非暴力犯罪である。ニュースで報道されるような、幼児を拉致して生き埋めにしたり、集団強姦で粗チンを慰めたりする社会の汚物を上述の6~7割と同視してよいはずがない。真っ当に刑期を終え、反省・賠償を行ったものは善良な市民として社会に貢献する資格を得るのである。(個人的にはレイプは殺人と同レベルの罪であり死刑も許容されるべきであると考える。なぜなら人間は心の生き物だからである。)

 

 さて、なぜ私は冒頭から前科兄ちゃんについて熱く語っているのか気になる人もいるだろう。刑法犯だの犯罪がどうとか別にお前ごときに説明してもらわんでも『刑事司法統計入門』で勉強するわという人もいるだろう。だが許してほしい。本作の魅力の7割がこの兄ちゃんなのである。

 

 ストーリーはバカの一言。以下研究所でのやりとりをごらんください。

学者「材質不明の隕石の接近が認められます。調査したうえで対応策を」

偉そうな上司(デブ)「核や!」

学者「え」

偉そうなデブ(上司)「ニュークリアウェポンや!」

学者「いや、ですから核兵器が効果ある対策かどうか分析を」

デブそうな上司(偉そう)「ファイアー!」

学者「   」

デブ「アカン、失敗や…隕石が分裂してこっちに来とる…」

学者「…、地球に向かっているのは小型のものが1つだけです。予備の核兵器の準備を」

デブ「無いぞ」

学者「え」

デブ「予備なんてないぞ」

 

 このやりとりを聞いていると、私の心に欧州史の風景が浮かび上がってきた。それは1940年5月16日、ガムランからの説明を聞いたチャーチルの心境である。この後おこるダンケルク撤退やバトル・オブ・ブリテンの事を思うと馬鹿が権力を持つことの恐ろしさを胃に実感できるだろう。

 

 結果論として隕石は地球に直撃しなかったが、その接近パワーで地球が太陽に近づき気温が上昇しているという報告がなされる。ここで私の脳裏に小学生の頃の記憶がよみがえる。生活の先生はこう言った。「太陽と地球はちょうどいい距離にあるから私たち人間が住める環境ができたんだよ。ほんの少し近くても遠くてもダメ。これは奇跡と言ってもいいことなんだ」

 本作を視聴した私はすぐさまこの生活教師が日本の教育レベルを落とすために送り込まれた日教組・全教祖のヒューミント部隊の一員であることを確信した。もう義務教育は信じてはならない。ロックとドラッグとセックスに生きるのだ少年少女達よ。

 

 作中での異常気象描写もギャグレベルである。「温度が50℃まで上がったァ」「船が燃えるゥ」「燃料が熱すぎて爆発す(ボガァン)」と陸海空の交通手段は全滅する。しかし私は覚えている。50℃を余裕で超えるイラクソマリア自衛隊の車両や飛行機がガンガングングンズイズイのショータイムで現地の住民を守っていたことを。50℃程度で爆発する車なんぞ作る方も買う方もバカである。もしやトランプ政権の保護主義政策はこれら欠陥車を売りさばくためのものではないか。そうなればモンロー主義などアナルファックである。

 

 まあ、こういうアホな設定の中で主人公と前科兄ちゃんが協力して悪をブッ倒してくわけだが、主人公の元妻と現恋人が出て来る割には普通に仲良く逃亡するだけだったりとかする、そういう要素は削っても良かったと思う。そして娘を思う主人公、思春期のせいで父を嫌う娘、そのかすがいとしてさらに活躍する前科イケメンという構成にする。本作は正直星4つを付けても問題ない良作ではあるが(科学設定除く)、前科兄ちゃんと主人公グループと言う良素材を見るとどうしてもあと一歩!と考えてしまう。許してくれ前科兄ちゃん、俺の欲のせいで今回は星3つだ。

 

 

総合評価星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上