ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ハイウェイ・バスジャック

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あらすじ

「パッケージをよく見よ、マガジンが外れている」

 

 ギリシャに不法入国したアルバニア移民のお兄やん。彼はある日ポリ公にえん罪を被せられた上に尻穴への異物挿入プレイを強要される。ブチ切れたお兄やんはカラシニコフ小銃を手にバスジャック。異物挿入に関わったポリ公2名の出頭と50万ユーロを要求する。そこにオカンがあらわれて「息子よ止めるんやプリーズ」アピールを放ち、それに油断したお兄やんの隙をついて警官隊が一斉射撃、お兄やんはハイヴになってハッピーエンドである。

 

 「極度の緊張!究極のリアリティ!暴走サスペンス・アクション登場!」とパッケージは謳う。この業界の常であるがこれらは全くの誇大広告である。本作には大別して2つの大罪が存在する。

 

 1つは運動の欠如である。舞台をバスジャックに据えながら、その暴走運動は1ミクロンたりとも描かれることは無く、お兄やんと警察当局、人質の会話という室内劇に終始する。

 

 別に室内劇が悪いわけではない。2つ目の大罪はサスペンスの欠如である。室内において、人質の一般ピーポー達はストックホルム症候群にり患しお兄やんの味方をする。もしくは諦観してボーっとするかの豊富な2パターンに分類される。とどのつまりは慣れあいと白旗である。ここからどうやって緊張を抽出すればよいのか私にはわからなかった。序盤で1匹のババアが「ワシは持病があるんじゃ!他の奴はどうでもいいからワシだけ解放しろボケ!」とシャウトするQueen of 自己中シーンが弛緩した画面に一陣の風を吹かす。もちろんそんな風は別に吹かなくてもどうでもいいというのはチェックポイントである。

 

 「ウージーをあげるからガマンしてね♪」と犯人に媚を売る警察署長の犯人の武装強化を図るネゴシエーション術はビジネスパーソンに必須スキルといってもいいだろう。キモオタとしては、銃声があまりにもショボすぎ問題にもツッコミを入れておきたい。その音は100均で売ってる火薬銃以下で、例えるなら初代プレステの『バイオハザード』のベレッタの発砲音に近い。『バイオハザード』はホラーの世界観と調和させるためにあえて銃声を調整しているわけだが、そのような、目的に接近するための配慮を本作から見出すことは不可能である。

 

 星1つが妥当なゴミかとも考えたのだが、自省するに、私はギリシャアルバニアの関係について全くの無見識である。そのような私に、対岸の火事をあざわらうように、本作を断罪する資格はあるのだろうか。見識ある視聴者の検分を望む意味と、己の蒙昧を恥じる意味を込めて星1つ追加とする。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上