あらすじ
エロ本を落としたマヌケな警備員のオッサン、彼の顔面と悲鳴と血のりが交錯するこの手の映画が得意とする量産型の襲撃シーンが冒頭から否が応でも「この映画はゴミだぞ」という予感を視聴者に突き付けてくる。
遺伝子工学で蘇らせたサーベルタイガーを目玉にしたテーマパークを建設して大富豪になるんや!という夢を膨らませる幸薄そうなハゲの人生がボコボコになるのが本作の目的である。
ハゲの部下は人材豊富。前述のエロ本警備員を筆頭に、ガードフェンスの異常を放置するデブや、任務中に突如発情して交尾を始める女警備隊長とエンジニアとよりどりみどりである。なお女警備隊長については「関係を持った男が皆死んでいく」という死神ジンクスを持つ設定であるがその設定が何かに活かされることは無いので安心してフル無視してかまわない。
そこに強力な援軍が現れる。パーリーピーポーである。彼らはウェイウェイ系サークルの入団試験として課せられた窃盗任務を果たすべく、テーマパークの備品をパクろうぜ!と行動力を発揮する。救いようがない。連中の一味であるアジア系の童貞がパークのシステムをクラッキングしてセキュリティをダウンさせ窃盗を開始する。
もちろんセキュリティから解放されたサーベルタイガーが檻から出てきて人間をバラすのだが正直そこには何の魅力も無い。サーベルタイガーの姿が映った後で血のりが飛び散るだけの省エネ撮影技法を誇る本作は地球温暖化の抑止にきっと大きく貢献したことだろう。そのバーターとして、視聴者は運動の欠如に起因する対象の猛威・圧といったものを感じる機会を永遠に奪われたのである。
ラスボスの巨大サーベルタイガーに至っては、適当に地面を赤子の様にハイハイした後に背後から9mmパラベラム弾を、たった4発、食らっただけで退場する。サーベルタイガーと銘打ちながらそれに何の魅力も無い素晴らしい作品である。
本作最大の戦犯であるアジア系童貞は「ボクが悪いんだ」と当たり前のことを今さらほざきだしてシステムを復旧させ「これで大丈夫だ」と胸を張る。実に清々しいマッチポンプ。その彼の愚像が民から搾取した富を施しのパンとして下々に投げつける君主制を批判したメタファーであることに疑いを差し挟む余地はある。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆
以上