あらすじ
「使いこなせない調味料なら使うな」
あるキリスト教系カルト教団に属するオッサンはその祭祀に使うヘビを探していた。ヘビ屋さんでウインドウショッピングをしているとレア種を発見。なんでもソイツはかつてインディアンとデュエルした実績があるらしい。よっしゃ!こいつで祭りや!とはしゃぐオッサンに対して店主はこれは売物ではないと拒絶する。するとオッサンは万引きというおよそ成人男性とは思えない愚行によってこの問題を解決。するとヘビが脱走して人がたくさん死ぬというのが本作である。
本作の主人公は万引き野郎の弟である。彼はアメ公にしては珍しく実家からのインディペンデントができていない。障害や経済的問題といった特別な理由があるわけでもないのにママの家でママの作ったご飯を食べママにパンツを洗ってもらう彼の姿は一国一城の主と呼ぶにふさわしい。そんな大人になりきれない彼は付き合っているカノジョとの結婚にも及び腰である。
そうこうしているうちにヤバイヘビが暴れだす。もちろん主人公とカノジョが協力してヘビを倒し、ラブラブチュッチュでファッキンエンドである。どこからどう見ても立派な量産型60点ムービーであり、魂と呼べるものを本作から見出すことは不可能である。
特に褒める点も無ければけなす点も無いと言いたいところだが、けなす点はある。まずはカルト教団に関する描写がゼロに近い点だ。本作におけるカルト教団はヘビを出す前提として冒頭でエクスキューズとして使われたに過ぎない。教団の祭祀で主人公の親父が死亡して主人公にトラウマを植え付けられたとかいう設定はフルスイングで下水処理場にブン投げられている。状況を煽っておきながら平然とした顔で逃げ去るというのは映画においても運転においても銃殺刑に値する行動ではないかと思うのだがいかがだろうか。
主人公に係る描写についても薄っぺらい。自立できないオッサン、その精神的成長の軌跡として本作を捉えることは希望的観測に過ぎるだろう。それどころか庇護者である彼のママンはナチュラルにブチ殺されたあげくその死体は放置プレイである。60点を指向する商業モンスターパニック映画の主役にこども部屋おじさんをキャスティングするというセンスを前衛的と評価せねばならない義務があるなら話は別かと思われるが、さすがにその主張は憲法上の根拠を欠きまくっている。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆
以上