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クロース・エンカウンター 第4種接近遭遇

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あらすじ

「素人動画の方がマシ」

 

 30歳を優に超えているであろうオッサン2人とそれよりはちょっと若い女の計3人が金属探知機を持って山で宝探ししていたら無事UFOに包囲されるという本作。UFOが出てくる割には疑似科学用語がロクにでてこないのが減点対象である。

 

 山登りの道中ではオッサン達による「なんか怖い音がしたんですけど」「マジビビった笑」といった「何かが来るぞ来るぞ詐欺」が視聴者の感性に嫌がらせの乱舞をしかけてくる。

 

 豊富なアクシドンが視聴者を歓迎する。「車がパクられた!」とか「GPSが機能しない!」とか。後はUFOの光を見て「キレイ・・・」と呟く小汚いオッサンを見ることが視聴者に課せられた自由刑である。

 

 さて、これ以上特に書くべきことが無い本作はPOVモノである。酔う。ここから書くことは私という学も教養もない人間のグチなので不適当なところがあればガンガン指摘してもらえたらと思うのだが、POVモノの良さがわからない。

 

 こういう作品が登場するに至った映画史に通じている人や、審美眼を持つ人なら話は別だろうが残念ながら私はどの条件にも当てはまらない。それでも考えるに、構図やらカメラやら照明やらの構成要素を美しく計算したうえで市民への訴求力を創造するフィクスィオンが映画であると仮定するならば、「POVは素人っぽく映して現実感を提供♪」を目的とした手段だろうか。でも結局おめえ現実じゃねーじゃんというのが率直な感想だ。普通のエロビデオに飽きたからたまにはXVIDEOSで素人動画を見ようとする選択と同次元の話じゃないのかという疑惑が頭の中を旋回する。

 

 もちろん、これはあくまで表現手段の問題であり、好き嫌いのレベルの問題である。よって単純にPOVだから処刑すべきなどという考えを私は持っていない。では何故POVに嚙みついているのか?それはPOVを逃げ道に使っている作品が多いと感じているからだ。

 

 視聴者が素人っぽい映像で受容してくれるんだからそれこそテキトーに素人動画を撮って金にしたろ!といった具合にだ。残念ながら今回ルビューした作品はこの類に分類されると考える。

 

 一般プープルのプロムナード動画を手ブレカメラで撮れば金をパクれる!そう、表現形態の1つとしてのPOVは結局金満主義のコスパ思想を正当化するための仮面として量産投入されているというのが現状ではないだろうか。

 

 お前がクソ映画ばっかり見てるからそう思うだけやろと言われれば私は抗弁するすべを持たない。こういう時に私の心臓を鷲掴みにするのは、もし私が、もう少しだけでも、多く優れた映画を見ていたらという現在進行形の後悔である。「良作を見よう」という碩師の金言は頭から離れたことは無い。それでも私は後悔の時間を歩き続けている。クソ映画を見る時間をひねり出すだけでゼイゼイ言ってるわが身の無能を恥じながら。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上