ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

バトル・オブ・ザ・リビングデッド

f:id:public-technocut:20210403210424j:plain

あらすじ

「ガバナンスや!(思い付き)」

 

 大正義米帝軍がイラクで極秘の人体実験を行っていた。死者を蘇らせる薬。それを開発するために行われていた実験は映画界の父と子と精霊の御名において無事失敗する。からくもその惨劇から逃れることに成功した中途半端な筋肉を持つメガネボーイが本作の主人公である。彼は帰国後借りたボロアパートで死者蘇生薬の実験を続行したり、無駄に露出の高い衣装を着たネエチャンとFUCKしたりする。そんなこんなで(中略)薬が流出してゾンビが発生する。

 

 主人公の「部屋に鍵をかけない」所作に目が留まった。その結果死者蘇生薬を自由の翼(俗名・ホームレス)に奪われて感染が拡大するわけである。この表現を軍事力の管理不行き届き乃至無軌道なタレ流しと解釈する。第三世界におけるAK-47、あるいはタリバンに流されたスティンガーの様なものだといえばご理解いただけるだろうか。

 

 舞台となるのはボンビーピープルの住むアパート。そう、戦争で割を食うのは貧困層なのだ。やがて彼らが兵器(死者蘇生薬)によってキズづけられ、ゾンビへと変貌(民兵の生産)するわけである。

 

 主人公たちは「ゾンビには塩素とアンモニアをぶっかければええんや」と叫びだす。何も考えずに見ていればただのバカにしか見えないが、彼らのしていることは「除菌」である。すなわちマッチポンプにより生産したテロリストに対する非対称戦を表現しているのだ。

 

 メガネボーイは語る。「個人の自由意思が大事」だと。ゾンビ化したネエチャンは語る。「集団の意思の方が大事」と。公共の福祉と自由権。両者の矛盾に耐えかねて、彼らは屋上から飛び降りて自殺する。このシーンは好きではない。主張そのものは理解できるのだが唐突すぎる。本作上映90分間を通じて個人の自由やその制限に通じる表現は見いだせない。すなわち情緒がないのである。

 

 主張がちゃんとある作品であり、その出来には一定の敬意を払うものの、私の思想信条とズレがある、要は好き嫌いで言えば嫌いよりなので星を1つ減らした評価としたい。

 

 最後に本作のMVPを紹介しよう。それは中盤に登場するクリーチャーの様などす黒い顔をしたシワだらけのババアである。彼女は主人公からダメージを受けたネエチャンに対して「男なんて必要ない」「バカなだけなんだから」「いない方がいいわ」と3点バースト射撃を叩き込む。これらに対して即座に毅然と反論できる珍棒は果たして何本いるのだろうか。識者の見解が待たれるところである。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上