ワンコイン・ムービ-レビュー

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マンドレイク 人喰い植物のえじき

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あらすじ

「光って大事だよね」

 

 伝説のアイテムを発掘しに行ったら、目覚めたモンスターから攻撃を受けた挙句、モンスターにいびられまくっていた現地の少数民族からもバンザイチャージの嵐を受けるという本作は、低予算モンスターパニックの佳作と言って良いと考える。

 

 第一にして唯一の理由はセットアップの丁寧さだ。場面転換ごとにきちんとエスタブリッシュ・ショットを挿入し、小道具や役者の動作(銃や賄賂)を通してキャラクターに性格付けをする、その流れるようなストーリーテリングは称賛に値する。

 

 手堅く設計された鉄骨の上でマンドレイクとバトルという本作はパッケージに貼り付いた390円という値札から離陸することに成功している。

 

 本作最大の弱点について語ろう。それは照明である。本作には幻想的な光学現象が飛来する。俗にフレアだのゴーストだのと呼ばれるそれら現象が意図を微塵も感じさせること無く作中で乱舞する姿には天を仰がざるをえない。特に作中中盤で撒き餌のオッサンが後光の様なフレアに包まれていたシーンには失笑を禁じ得ない。2~3秒後にはブチ殺される運命の黒人男優を強烈な光で包み込むことにどのような意味があったのか考えることが貴方にとってどのような益があるか私には保証できない。

 

 照明と言えば、本作を通して照明の偉大さに気づけたことに感謝したい。それはCGが使用されるシーン。フィルムとCGとの合成が上手くいかなかったのだろうか、そのシーンでは俳優たちが照明の援護を受けない素の姿で投入される。そこに浮かび上がったのは暗澹。そこでは主役級の体育会系武闘派ソルジャーが量産型の色白デブと化していた。

 

 プロップガン変わり身の術現象にも苦言を呈したい。地元の顔役オヤジが持っていたライフル。ほとんどのシーンではモシン・ナガンなのだが、時にはそれはマウザー小銃へと変貌する。どこが違うんだよという方もいるだろうが普通にわかる。ストレートボルトかターンボルトか、見るべきポイントを押さえれば幼稚園児でも判別できるものである。

 

 マンドレイクを倒す方法が「誰か1人をイケニエにして、そいつの心臓にナイフをブッ刺す」という、かなりしっくりこない解決法だったことも気にかかった。悪役の心臓にナイフをブッ刺してクリアや!という本作の流れも、それまでの丁寧さを見ると相対的にかなり雑なものではと感じざるを得ない。

 

 マイナスポイントに文量を割く結果になったが、それでも本作は全体的な質の高さが短所をなんとか上回る、敢闘賞を贈るに相応しい作品だと考える。

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上