ワンコイン・ムービ-レビュー

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トランスモーファー リターンズ

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あらすじ

「帰ってくるな」

 

 CGの出来は良かった。嗚咽を絞り出すように、本作の美点を抽出するとすればその程度が限界だろう。車で逃げる主人公たちを変形型ロボが上空から追撃したり、マシンガン装備の巨大ロボがヘリ(輸送用)とタイマンを張ったり。「わぁ~ろぼっとだあ~」と、よだれを垂らしながら脳死で映画を見たいとういう方になら、本作は十分及第点だろう。

 

 有名作品へのオマージュが込められている点も評価に値する。それはロボの脅威が顕在化する前にも関わらず、主人公が突如腰から拳銃を引き抜き、そこらの庭に設置されているパラボラアンテナに照準を合わせるシーンだ。これはもちろん映画史に燦然と輝く『肉喰怪獣キラーツリー』におけるレンジャー隊長クリスマスツリー突撃事件のオマージュであることは自明である。何を言っているかわからないという人はそのままで結構である。イヤミ無しに、その方が絶対に平穏な人生を送れることは間違いない。

 

 主人公と共に歩むヒロインの女のファッションセンスは一級品だ。シルバーのハイヒールにピンクのワンピース。その出で立ちでライフル持った主人公と共闘するその姿。視聴者の網膜に極彩色の銃剣突撃を敢行せんとするその前提的な試みは戦場の林家パー子と形容するに相応しい不気味さを誇っている。

 

 後は特に書くことは無い。オッサンたちが棒立ちでライフルを撃つとCGのロボが爆発するという、この手の映画が得意とする伝統技能により上映時間86分という貴重な時間を処刑する、千篇一律、それが本作だ。

 

 最後に映画の評価に関係ないところではあるが、ブロップガンの不気味さにも言及しておきたい。主人公の持つ拳銃、それはグリップがグロックでスライドがガバメント、照準器はノバックサイトに換装されている。率直に言って非常に奇妙な、めまいを覚えるようなデザインであった。この感覚、共有できる人がいれば望外の喜びである。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上