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ザ・ビースト ブレイロードの悪夢

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あらすじ

「都会>田舎」

 

 開幕早々「この物語は実話がベースです」という至極どうでもいい真っ赤な嘘が塗りたくられる。そして流される映像。それは毛むくじゃらの着ぐるみがウホウホ言いながらオッサンやオバハンを切り裂くネバーランドである。

 

 主人公の保安官は昔なじみのオンナノコと良い感じになりながら事件を捜査する。と、そこに林の中で中腰になり尻を左右に振る変態が現れる。特殊な性癖をお持ちの紳士かと思いきや、なんと彼は偉大なる「未知動物学者」だったのだ。「博士論文を書いている途中なんだ」と宣言する彼に学歴を与えようとする大学院が本当に存在するのだろうかという問いを否定できないまま物語は進む。

 

 未知動物学者の次に仲間になったチンピラは兄弟を着ぐるみに殺された恨みを晴らすべく、秘蔵の銃火器を保安官に提供する。「こいつは強力な銃だぜ」といい彼が持ち出したのはMP5UZIそしてMac11である。確かに人間相手ならば強力な銃器かもしれないが、バケモノ相手に対人用のピストル弾薬を使う小火器がどれだけ役に立つかは自明である。興が乗ったチンピラはMac11を手に「この銃は10秒間に33発撃てるんだ」とのたまう。もし彼に小学3年生レベルの知能が搭載されていたならば、余りのでるわり算という高度演算能力により、その連射性能がゴミであることを判断できたはずだと思うと慚愧に耐えない。格差社会アメリカ。教育にもそれは存在しているのだと宣言する本作屈指の名シーンであった。

 

 保安官たちはPrepareする。「バケモノは多分狼男や!せやから銀の銃弾が決戦礼装や!」そう見切り発車した保安官たちは銀貨を鋳つぶして銃弾を作る。なおこの銀の銃弾は特に活躍することもなく蕩尽される。

 

 ラストではパッと出のモブのオッサンが狼男に燃料を投げつけ、そこにライターで着火してキャンプファイアーである。しかし戦いの果てに保安官、未知動物学者、チンピラの3人全員が狼男になるんやで菌に感染してしまう。そして彼らは誓い合う。「薬でなんとかやっていこう」お医者さんカバンの如く突如登場した「薬」とはなんであろうかと首をひねった私を誰が責められるだろうか。

 

 そしてエンドロールで高々と宣言される「偉大なるウィスコンシン州に捧げる」という一文が私をさらに苛立たせたことは言うまでもない。こんなもん捧げて幸せになれる人類の存在を私は想定できない。

 

 本作が「着ぐるみをボコる」という張三李四のゴミ映画であることは間違いない。しかし舞台となる田舎の表現、具体的にはヤンキーやアル中のジジイ、グータラ役人等の描写がリアルでよかった。登場する連中の喫煙率の高さにも注目したいところである。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上