ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ザ・スネーク

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あらすじ

「結局銃撃ってるだけ」

 

 時は西部開拓時代。アメリカのとある田舎町にヘビが大量発生。地元のガンマンたちが銃を撃ちまくるぜ!という本作は、おわかりだろう。偏差値で言えば38ぐらいの、ハイパー頭悪い系量産型映画である。

 

 コルトだのウィンチェスターだのクラシックな銃が画面を彩ったり彩らなかったり。秘密兵器として登場したガトリングガンが中途半端な連射を見せるシーンは妙にリアルでキモオタはオウフオウフである。

 

 本作の第一の欠点は間の悪さといえるだろう。あるいは編集の不味さと言い換えることもできるだろう。具体的に見てみよう。

 

 冒頭、主人公とアウトローがポーカーで対決するシーン。素直にそれを描くことに集中すればいいものを、何故か下男がヘビに襲われ死亡するワンシーンを挿入してしまう。その後もちんたらポーカーをプレイし、そのあげくガンファイトにまで発展する長丁場のあとでようやくヘビ到着の情報がアンロックされる。この短くない時間、視聴者は「ヘビがもう町に来てるのにこいつら何やってんだ」という違和感と戦うことになる。

 

 挿入過多と言える設定も欠点と言えるだろう。「主人公の旧友を殺したアウトローとガンファイトした後、ヘビがやってきたので主人公と住人はアウトローと共闘する」という、一見悪くなさそうに見える筋書きだが、名が実に伴わない。アウトローは実質撒き餌として機能するのみである。呉越同舟という緊張をモニタに張り巡らせることに関しては本作は完全に失敗している。あるいは考えてもいなかったのかもしれない。

 

 「西部劇の時代なんやからやっぱりガンファイトはいるやろ!」といった浅慮が原因だとすれば我々はそれを唾棄しなければなるまい。低予算クレイジー系の映画で中途半端に王道かじってどうすんだ。やるからには狂うべきではないか。正直なところ、本作は無難にまとまっていると言えないこともないのだ。だが私はその無難さが気に入らない。

 

 「西部劇の時代でモンスターパニック!斬新ですねぇ!でもコケるのはイヤだから安全運転で行きましょうね」これが本作から感じ取った匂いである。要するに羊頭狗肉なのだ。面白そうな設定でジャケット詐欺を働きつつ中身はベルトコンベアで生産されたT型フォード。

 

 『宇宙戦争ZERO』という作品を過去にレビューしたことがあるが、それに比べれば本作は湯船に浮かぶ陰毛ほどの価値しかない。購入はお勧めしない。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上