ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

デッドクリフ

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あらすじ

「さながら汚部屋のごとし」

 

 男3人(陽キャ陰キャ、ハゲ)、女2人(アウトドア系、インドア系)の5人のフランス人がクロアチアで山登りすると変態に襲われどえらい目に遭うという本作は、所々で小さな笑いを製造するハートフルコメディ作品である。

 

 最初の笑いどころは陰キャが崖から滑落しかけるところである。このヘタレ、高いところが怖いくせに女にいいとこ見せるために調子こいてこの旅に参加したのである。自然をナメるな!このモヤシ野郎が命綱一本で崖から宙ぶらりんになってヘルプミーと叫ぶ無様さを見た瞬間、こぼれ出るものはなんであろうか。それは微笑み以外ありえない。

 

 次の笑いどころは、変態が仕掛けたトラバサミで陽キャが足をズタズタにされるシーンである。彼はその直前「この登山がヤバいのはわかってたけど強行してみたwww」と告白しており、その無責任さからの天誅の一撃が人々にもたらすものはなんであろうか。そうだね、微笑みだね。

 

 とどめの笑いどころは、陰キャアゲインの巻である。彼はハゲとケンカしてハゲを地下室に閉じ込める。そしてインドア系女子と2人でラブラブエスケープしようと思っていたら変態とエンカウントする。陰キャの攻撃!ミス!変態の攻撃!痛恨の一撃!陰キャは逃げ出した。女を置いて立派に逃走を果たした陰キャはなぜか発煙筒で『ザ・ロックごっこをしながら走り去り、無事崖から滑落する。本日2度目である。陰キャは崖から這い上がろうとハゲに助けを求めるも、ハゲから温かい拒絶の言葉をもらい無事落下して死亡した。

 

 本作を分析するならそのストーリーテリングは2部構成だといえる。前半は陽キャのせいで危険な登山危機一髪の巻であり、後半は変態による殺戮ショーである。自然をナメた登山の恐ろしさを描きたいのか、あるいは変態による理不尽ショーを描きたかったのか、どっちつかずである。どちらも取り込んで良いものを作れる!というだけの製作陣の力量や予算があればいいだろうが、現実問題それらが揃うことは難しいだろう。低予算映画に関して私が常々思うのは戦力の集中ということである。例え欠点があったとしても「これさえ撮れればええんや!」といった信念、魂、背骨、それが欲しいのである。「なんかウケそうな要素を何個かねりこんで50点を取ろう」などという作品にどれほどの愛をそそげるだろうか。

 

 本作は消化不良感を禁じ得ない。陰キャの無様さを失笑することだけに存在価値を見出す根暗な一本。購入はお勧めしない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上