ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

パニック・マーケット

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あらすじ

「殴りたい、この主演」

 

 TSUNAMIで水没したスーパーマーケットにサメが侵入してきた!よし、逃げよう!という、馬鹿豚ポップコーン御用達の量産型サメ映画として、本作はわりかし楽しんで見れたところもあればそうでないところもある。どちらかといえばそうでないところの方が多い。

 

 楽しんで見れたところは、スムーズに流れてゆく話の展開である。サメに見張られた閉所空間から脱出すべく、仕掛けを解除しアイテムを集めるという、明確な目的に向けてコツコツと積み上げていく感がきちんと表れていたのはよかった。スーパーマーケットと地下駐車場、同時進行する2つのパートの場面切り替えも悪くない。

 

 楽しんで見れなかったところは、スムーズに流れてゆく話のその中身である。主演の男女はかつてカップルだったがある事故が原因で疎遠になってしまった。しかし今回の事件をきっかけに再びラブラブチュッチュ(失笑)するという、魂が腐りそうなラブストーリーが本作に色を添えている。それ自体は別にいい。問題はかませ役として登場するお兄やんの処遇についてである。

 

 そのお兄やんは今現在ヒロインと親密な仲、いわば今カレである。しかし彼は主人公の踏み台としてⅣ号戦車のごとく働かされる。主人公とヒロインが再接着するための道路交通警備員として使い捨てられるのだ。「ヒロインは実は主人公のことをずっと思っていて、そのせいで僕らはまだセックスしてないんだ。さあ、ここからはキミのペイバックタイムだよ!」とんだ道化である。そのあげく、彼は電源のスイッチを押しに行くという片道切符の神風特攻隊に志願し死亡する。

 

 もちろんかませ役を全般的に否定するつもりは毛頭ない。しかしかませ役も必要だからこそキャスティングされるものでしょう。このお兄やんに関して言えば、彼が存在する理由などない。普通に疎遠になってた男女がサメ事件をきっかけに復縁すりゃあそれでいい話である。しかしながらわけのわからん生煮えの三角関係を構築する、した割には特に三角関係に係るトラブルはない、話は全て主人公の都合よく進む、お兄やんは死ぬ、これらのどこをどう擁護すればいいのだろうか?

 

 さらにこの問題に拍車をかけるのが主人公の顔面ムカつき問題である。こいつの面は普段は特に何の変哲もない量産型のイケメンである。しかしこいつとヒロインが過去について話をぶちまけてすっきりするというシーンで、彼はヒロインに「I'm sorry」とつぶやく。その時の顔が非常にムカつくのである。例えるならば同級生をぶん殴り教師に怒られ謝罪を求められた小学5年生ぐらいのクソガキがしぶしぶと「ハイハイごめんね」というような感じといえば伝わるだろうか。

 

 もう1つ言えば、冒頭で主人公が見せる砂浜でのダッシュ。走り方がダサい。硬直した腕を中心として動きが全体的にモッサリしている。例えるなら『ターミネーター2』のT-1000をデブにした感じといえば伝わるだろうか。元陸上部で近畿大会予選落ちの実績を持つ私を信じていただきたい。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上