ターミネーター・ウォー
あらすじ
「人間はクソFromウォーキング」
冒頭、ロボット軍と戦っている人間軍の兵士が登場する。メイクばっちりのお顔に清潔感たっぷりの戦闘服、とどめは厚紙で作られたとしか思えないガトリングガンである。刹那、私の脳内を「おゆうぎ会」という文字列が駆け抜けていったことをここに告白しておく。
兵士役のオッサンたちの腕は皆暗室で栽培されたモヤシのように細く青白い。一見するとどこが兵士なんだといいたくなるが、これは筋肉という男性性・マチズモを否定し男支配からの脱却を試みた前衛的キャスティングであると評価できる。
兵士たちは地下に作られたアンドロイドの製造工場に突入する。地下100階近い階層が舞台のはずなのだがナチュラルに日光が君臨しているのはご愛敬である。これは太陽=神の恵みは常に貴方と共にあるという宗教的啓蒙学である。これを地下という設定を忘れて作られたあんぽんたんなセットであると考えるのは浅慮であろう。
兵士たちはアンドロイド改を救出する。これは人類にとって有用に改造されたということらしいが、何がどう改造されて結果どのように人類の役に立つのかは語られない。
このアンドロイド改は本当に味方なのか?そんな疑心暗鬼をはらみつつ地下を82分間ウォーキングするのが本作の正体である。合間合間で兵隊たちはこの手の映画が得意とする伝統的戦術 ―棒立ちで突っ立ってライフルを連射する― を披露する。
そして明らかになる事実。主役の女隊長も実はアンドロイドだったのだ!だからなんだといわれれば何もないが明らかになったのである。情報公開は民主主義社会の柱石であると明示するこの誇り高き演出はいつの日かドナルド・トランプを滅ぼすだろう。
そしてラストではロボットの大統領がでてきて演説で締めくくってくれる。「生き残った人間の中にかなりの数のアンドロイドを潜ませているんやで。その理由?お前ら人間のチンケな生ではわからんわ!ロボットに従えやコラ!」。何が言いたいのかさっぱりわからん。こればっかりは適当な解釈すら付けられない迷演説であると素直に称賛しよう。
こんなもん作る金があるならユニセフにでも寄付したほうがマシ。心の底からそう思える、本作はゴミである。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上