ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

エイプ2003

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あらすじ

「社長はバカ(万国共通)」

 

 あるハイテク企業の小型ジェット機が山中に墜落。搭乗員の生存を信じて救出隊が出動するもビッグフットに出くわしてオーマイガッデムというのが大まかなストーリーラインである。そこでは救出任務真っ最中の女性隊員が突如天然温泉に入ってシリコン偽乳を展開したり、道案内に雇った山林ガイドの経歴詐称がバレてアル中になったりする。

 

 救出隊を率いるのはハイテク企業の社長。トップ自ら前線指揮をとるという理性的な蛮勇を見て思い起こされるのは何であろう。そう、マスラニである。「現場感覚」と「現場に立つこと」を混同しバンザイチャージの尖兵となったこの社長はドヤ顔で「ハッタリを自分でも信じろ。それがビジネスの鉄則だ」とアドバイスを提供してくれるがそれが伏線でもなんでもない親父の説教であることに気付くのは86分後である。

 

 本作のホーリーシットとして挙げなくてはならないこと、それはディゾルブの濫用である。捜索地である陰鬱な山中をバックにしてバカ社長の顔面どアップが現れては消えていく。これは彼の心情を描くための表現であると愚考する。おそらくバカ社長は深い深い森の奥に今もきっと置きざりにした心隠してるのだろう。問題はその頻度である。この表現は何度も何度もインフィニティに繰り返される。量の低下は質の低下という言葉は製作陣の頭にはなかったようだ。

 

 濫用といえば、いわゆる怪物目線のカメラもその被害に遭遇している。モンスターパニックものではすでにおなじみの襲撃者目線の映像。本作でもそれは余すところがありすぎるレベルで使いまくられており、それは襲うぞ襲うぞ詐欺の併発を招いている。ビッグフットからの視線が日常と化した追跡パートのどこに緊迫を見つければよいのだろうか。

 

 ビッグフットの行動原理も大概である。このバケモノは企業が開発した「遺伝子解析機」を狙って救出隊をしばきまくるのである。いったいどんな知能を想定しているのか。いつからUMAは産業スパイになったんだ。

 

 ラストではバカ社長が下山後「ワシはビッグフットを見た!」と主張するも誰にも信じてもらえずに精神病院にぶち込まれるという癒し系の緞帳が下ろされる。こんなことになるぐらいならヘリにガトリングガンを積んで自爆したほうが良かったのかもしれない。期せぬところでマスラニの再評価につながった1作であった。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上