ワンコイン・ムービ-レビュー

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腐女子彼女。

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あらすじ

「オタク女子とフツー男子による純愛ハッピー・ライフのススメ(パッケージより抜粋)」

 

 本作のヒロインは腐女子である。彼女と一般人の彼氏が紡ぐ、ラブストーリーという名の茶番を97分間耐えきることが視聴者に課せられたミッションである。

 

 ヒロインは彼氏を執事喫茶に連行、彼をほったらかし友人とオタクトークに勤しんだあげく、彼に「セバスチャン」というあだ名を与えおもちゃにする。セバスチャンは彼女の荷物持ちとして馬車馬のように働く。買い物先はもちろん同人誌ショップである。それだけでは飽き足らないヒロインは彼氏の通販サイトのアカウントをハックしてポルノを購入する。「読んで勉強しろ」、彼氏に同人誌を突き付けるその姿は…。

 

 おわかりだろう、腐女子であること自体に問題は無い。この女の人格に問題があるのである。セバスチャン呼ばわりと荷物持ちはまあ許そう、しかしハッキングポルノや同人誌押付思想教育などどうやって擁護すればいいのか。この女、ぬけしゃあしゃあと「恋愛は等価交換だ!(ハガレン)」と偉そうなことをほざくが、価値観の一方的な押し売りを展開しておきながらそこにどれだけの説得力があるのかということには脳みそが回らなかったらしい。あげくこの女、問題が発生すると手前の自己中を棚に上げ、「私が腐女子だから差別するんだろ!」と逆ギレする。どえらい傑物である。

 

 かといって彼氏を擁護できるかといえばそれもNonである。男は男でもう見ているだけでブン殴りたくなってくるクソ袋である。彼は「ボクはオタクを差別しません!」とドヤ顔で宣言するも、コスプレショップでドン引き、声優のライブでドン引き、こいつの器は灰皿以下である。緊張しているからという理由で時折裏声で話し出すのも気色悪い。今田耕司に似た顔面のくせにイケメンを気取っているその仕草から殺意以外の何を感じればいいのだろうか。

 

 終盤、ヒロインはロンドンへ転勤する。彼氏はそれを追跡。追いすがってきた彼氏にヒロインはつぶやく。「私、ワガママで、腐女子だから、等価交換できないよ…」。自覚はあったのか、タチ悪いな、と思っていると彼氏は答える。「あなたがいるだけでいいんです!」。要するにドMである。無条件の愛!理由付けの放棄として連射されがちなそれを見た時、本作の評価は固まった。産業廃棄物である。

 

 普通の恋愛ドラマみたいに転勤をブッ込んできているところや、無条件の愛を賛美しているところからもわかるように、本作において腐女子設定は全く持って輝きを欠いている。腐女子という一般人とは異なる価値観、これは全く掘り下げられることは無い。ヒロインはただ萌え萌えいってる薄っぺらいオタクとして処理される。異なる価値観をもつ2人がどのように結ばれるのか、歩み寄っていくのか、といった描写もゼロ。なにがあなたがいるだけでいいだ、そんなのは愛ではない。服従であり奴隷なのだ。

 

 脇役として登場するヒロインの友人は置物として機能するにとどまる。ボーイズラブ作家とか人気コスプレイヤーとか取ってつけたような肩書が空回りする。ヒロインの横でウヘウヘ笑っているだけ、こいつらを見ると、ロックンロールフラワーが武道館ライブに思えてくる。

 

 いくら好きだからと言って生身の相手に一方的に価値観を押し付けるのは恋愛ではなく洗脳教育である。愛とは、互いの欠点を愛することだと奇麗事を吐いて筆を置く。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上