ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

パーフェクト・クリーチャー

f:id:public-technocut:20190426210128j:plain

あらすじ

「偏見はテロリズムを招き、共存は崩壊する」

 

 本作の世界観はファンタジックである。文明のレベルは20世紀初頭ほど。蒸気自動車や飛行船が行き交うその世界は、雨に降られた教室にチョークの粉をはたいたような空気感だ。

 

 人間とヴァンパイアが共存する世界。ヴァンパイアは疫病から人間を守り、人間はヴァンパイアに献血する。血を飲むという、人類から見れば異質な行動の故だろう、ヴァンパイアはすべて人類から受け入れられているわけではない。そこには偏見の視線が付きまとう。ヴァンパイアはセンシティブな存在だ。作中登場人物の言葉を借りればそれは「1人が悪事を働けば皆が悪人とみなされる」存在である。やがてヴァンパイアの中から変種が現れ、人類に対してテロを行う。

 

 吸血は生活様式等の文化の違いであり、ヴァンパイアはマイノリティ、変種はそのままテロリストを象徴していると解してよいだろう。偏見!なんと嫌な言葉だろう。日々の生活を送る中で、特にインターネット上の過激な言論を目にするたびに、同じ気持ちになった方は多いと信じる。例えば凶悪犯罪が起こるたびに、毎回毎回聞いてもいないのにSNS上で「犯人は在日」と根拠溢れる呟きを臆面もなく送信する愛国的国恥主義者を見た時だ。彼らの他者を尊重する想像力には敬服するばかりだ。彼らが老人を、女性を、障害者を、独りよがりで観念的な救国の志と共に告発する、その矜持に対して私は心からのスタンディングマスターベーションを送りたい。

 

――想像力は未来だ!人への思いやりだ!それをあきらめた時に、破壊が生まれるんだ!

                    『ドラえもん のび太の月面探査記』より

 

 5流6流もいいところだと自覚しているが、本ブログは一応映画ブログなので、たまにはまともな映画から引用しても罪にはならないと信じたい。

 

 人間とヴァンパイアは力を合わせ変種を倒し、希望は次世代に託されてエンディングである。これはハッピーエンドだろうか、それともツケを次世代に丸投げしただけなのだろうか?私は後者だと感じた。

 

 最後は皆さまおまちかね、キモオタの銃器ウォッチングコーナーだよデュフフ。本作では人間の刑事たちがモーゼルC96やワルサーP38を使用していたでござるよフヒヒ。私の目に留まったのは主役の女刑事が装備していた南部14年式拳銃だ。軍用拳銃としては華奢で威力不足かもしれないが、そのすらりとした細身のフレームはヒロインの肢体によく似あっていたのでござるよフォヌカポゥ。

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上