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アルマゲドン2011

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あらすじ

「隕石が落ちてくる」

 

 流星群がまるでショットガンの散弾の様にシスコの大地に降り注ぐ。確かに、実際そんなことが起こったら十二分に恐ろしいだろう。本作はこの恐怖を視聴者に与えるために秀逸な演出を披露する。そのレベルは地面でかんしゃく玉が破裂しているようだといえばわかってもらえるだろうか。別の意味で恐怖を感じる。

 

 この事態に対応する登場人物たちの人間力は、視聴者に感動を与える。緊急事態管理庁で役職者を務める主人公の白人男性は「市民の安全は俺たちが守る」と高らかに宣言して職務放棄する。彼は自慢の大排気量バイクでドライブに出かけ身内を救出する。道中では大した理由もなく民間人の車を繰り返し徴用し、公権力濫用魔人として財産権を擁護する。一応人命救助や現場働きもしているのでまるきり無能というわけではないのだが、それでも彼を管理職に任命した緊急事態管理庁のガバナンスは某大学危機管理学部レベルではないかとの疑いは晴れなかった。

 

 主人公の子供たち(兄妹)も大活躍である。「彼ピがぁ、まだ避難してないっぽいんですけどぉ、ポリとか兵隊とかアテになんねーしぃ、ウチらで助けに行こっ☆」この深淵な思考に基づき妹は兄を徴用、かんしゃく玉の中をランニングしてエレベーターに閉じ込められる。要救助者2名増加!この責任が行政にあることは明白である。

 

 物語も終盤、デカくてマジでヤバイ隕石が地球に来てるんですけど展開がカタパルト射出されると、主人公の妻である天文学者は対策を講じる。それは「新発見した120番元素で核ミサイルの誘導装置をアクティブにした後、ロシアの軍事衛星でミサイルを誘導して隕石の近くで爆破させ軌道をずらす」という科学的アンシャン・レジームである。元素うんぬんはフィクションだから大目に見るとしても、ロシアの軍事衛星でアメリカの核ミサイルを誘導ってどうなんですかね。IFFとかいろいろ。まあこんな疑問は無粋なのだろう。ソ連よ、これがペレストロイカだ。なんやかんやで作戦は成功でハッピーエンドである。

 

 正直ゴミ同然の本作において、ただ一人癒し系アロマとして機能したのは、ある黒人の男性佐官である。彼は上司の将軍から「核が効くかわからんけど核をはよ撃たんかい」と度重なるモラハラを受けたあげく、部下である主人公からは「もっとしゃっきりせえや」と突き上げを喰らう悲しい中間管理職である。その様が彼の容貌、例えるならランチャー・オクトパルドそっくりのそれと、微妙にマッチしているのである。それだけです、はい。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上