ワンコイン・ムービ-レビュー

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口裂け女

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あらすじ

羊頭狗肉

 

 まず最初に宣誓しておくが、本作は日本映画界に糞を擦り付けた悪徳の栄えと言っても過言では無いゴミである。

 

 地震が起きて口裂け女が復活、暴れまわったあげく最終的には児童含む多数の死傷者を出した上に、結局口裂け女は退治されずにこれからも児童を殺し続けるというのが本作の始まりから終わりまでの流れである。

 

 一見すればただの学校の怪談ではないかと思うだろう。では問題点は何か。それは本作の登場人物の設定が余りにも重く、その重さに比例した説明がなされていない所である。本作の主人公の女教師はDVで娘を暴行した結果、夫に親権を取られて離婚されたクズ女である。口裂け女に拉致される女児もまた母親から暴行を受けている。これら母親に共通するのは「子どもを愛しているけれども手を上げてしまう」という矛盾した感情を抱えている点である。もちろんこれは現実に存在する事例だろう。例えば主人公の女教師については、夫が子育てに協力せずノイローゼ気味になった可能性が考えられる。こういったバックボーンを考慮せずに「クソ女」の烙印を捺すことは正当性が無い。しかし本作においてはバックボーンの説明もロクに無しに児童への殴打が繰り返されたあげくに、母親を悲劇のヒロインとして擁護するような表現すら見受けられる。

 

 極めつけは口裂け女の正体である。彼女は3人の子持ちであり、その全員を虐待していた。そしてとうとう2人の子を地下室へ監禁、殺害する。残った1人の子どもに対して彼女はこう迫る。「ワタシ(の首を)キレ」。追い詰められた子どもは包丁で母親の顔面を切り付けて口に裂傷を負わせ、腹部を刺突し殺害する。なんのことはない、口裂け女の怪談に出て来る「ワタシ、キレイ?」をミスリードさせるためのロクでもない駄洒落である。こんなくだらない演出のために、子の親殺しを見せられたのである。

 

 ただ口裂け女の映画を作るだけではボリュームに欠ける。ならば家庭内暴力という現代社会の病巣を追加することで新たな物語ができると考えたのだろうが、浅慮にも程がある。怪談映画の外套を被り集客を画策し、提供する中身は陰湿な児童虐待&クソ母親&惨殺死体である。あげくこれら状況の真っ当な説明はなされないまま、大根役者のくだらないドタバタ劇を見せられる。

 

 本作を企画提案した連中は非人道的な卑劣漢であり、魂の散弾乱殺者である。胸糞映画を引き当てた、そう割り切れる人ならば本作はそれなりに楽しめるかもしれない。男子児童の腹部を執拗に刺突したり、女子児童の顔面を切り裂いたり、救助に来た教員のアキレス腱をぶった切るなど残虐描写については申し分ないだろう。

 

 だが私は本作の存在を映画史から抹消したいレベルの怒りを感じている。人によって感じ方はそれぞれかもしれないが、このブログが私を絶対君主とする便所の落書きである以上、本作に対して徹底的に罵倒の言葉を投げつけることに抵抗は無い。本作は低脳共によって構成された卑劣で下劣かつ薄っぺらいアイディアマン気取りの馬鹿のドヤ顔が浮かんで見える愚かな汚物である。

 

 

総合評価・星0つ(人道に対する罪)

☆☆☆☆☆

 

以上