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プラネットオブエイリアン

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あらすじ

「顔射」

 

 開幕からいきなり墜落としか思えない爆発動画が流される。しかしそれは本作においては着陸と呼称されるようであり、煙の中からはアメリカの宇宙飛行士がスマイルしながらウォーキングしてくる。主人公である医者は「世界に医者が俺しかいなければ需要が高まる。そうなれば俺は金持ちだ」と笑いながら、無知な私に経済学の知識を与えてくださった。

 

 しかし主人公達が宇宙に行っている間に地球はエイリアンに征服されていたのだ。エイリアンは主食である木材を得るために「木にダメージを与えず人間だけ殺す兵器」なる某猫型ロボットの秘密道具の様な便利なツールで人類に壊滅的ダメージを与えていた。生き残った人類は木材精製用の奴隷とその監督役に分けられ統治されていた。

 

 ある日、主人公はその場のノリでエイリアンを釘で刺殺する。そして叫ぶ。フリーダム!一発ギャグが滑った芸場の空気が漂う。奴隷たちの同調は得られず、あげく監督役からはライフルで銃撃され逃亡の身となる。

 

 その後は単調なシーンが点々とつなぎ合わされた映像が映し出される。行く先々で変なオッサンを仲間にしたり金髪女を仲間にしたり変なオッサンを仲間にしたりの豊富なバラエティは見ている者を飽きさせない。これら一連のツギハギ映像の中で主人公の過去が語られる。「俺は医者になりたかったんだけど無理でさ、空軍に入ってパイロットになりたかったんだけどそれも無理でさ、でも空軍で整骨を学べて良かったと思いました」である。

 

 要するにコイツは医者ではない。マッサージが上手いオッサンだったのである。アメリカの医療制度については無学な私であるが、少なくとも日本においてテクノカット整形外科を開院してマッサージを始めたら私は鉄格子付き官憲制ホテルへと連行されるだろう。もちろん文明荒廃後に制度論うんぬんでケチを付ける気はさらさらないのだが、それにしても主人公が「私は医者だ!」と叫びながら麻酔無しで開腹手術をおっ始めたシーンをどのような態度で鑑賞すべきであったのか、私の中ではまだ答えが出ていない。

 

 なんやかんやで仲間を集めた主人公は弓とサーベルで武装してエイリアンを撃破する。なおエイリアン達はパンツァーファウストのような空気砲やミサイル装備の装甲車を有しているが負ける。戦場では火力が命という事をどこかで聞いたような気がするが本作はまさにそれを体現している。

 

 ラストは定番の「戦いはこれからも続くぜ」でエンドロールである。このラストシーンの秀逸さ。それは背景として半透明で映し出されるマッサージ親父の映像である。彼はエイリアンの緑の血しぶきを浴びながら雄叫びを挙げている。前述した通りその緑の血しぶきは半透明の加工をされている。そこから導き出される方程式の解は惨劇。すなわち半透明の白濁した液体を顔面に浴びながら喚いている気色の悪いオッサンの面がモニタに映し出されるのである。

 

 本作は全体的に見て擁護不可である。ラストの顔射シーンこそ笑えたものの、こんな奴が整形外科医を名乗り現代日本に君臨していたら私の入院期間は1ヶ月どころか1光年は必要だったであろう。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上