デンジャーゾーン タービュランス3
あらすじ
「<<歪んだパズルは一度リセットするべきだ。>>」
「デスメタルバンドがジャンボ機でライブやってたらハイジャックされてやべえ」というのが本作のあらすじであるが、登場勢力が多すぎる上に個性が無さすぎる。バンド、ハイジャック犯、ハッカーとそれを追う女刑事、FBI、TV局員の内、女刑事、FBI、TV局員は個室ビデオ店の看板を持って立ってるオッサンレベルの大活躍をする。
それでも序盤は良かった。バンドリーダーはかつお節みたいなしゃくれあごをしたマリリンマンソンのモンキーモデルみたいなオッサンである。しかしキチンと歌詞のある曲でライブシーンを熱演。適当に客がさわいで踊っているシーンを流してお茶を流さない正々堂々とした漢気は認めなければならない。
一曲目が終わりトイレに行ったバンドリーダーはハイジャック犯に殴られ昏倒する。ハイジャック犯はバンドリーダーになりすましファンを射殺。機体を急速に降下させる。なんとハイジャック犯は悪魔崇拝者だったのだ。その目的は「何か変なつまらん伝承の有るクソ田舎のチンケな教会にジャンボを墜落させ魔界の門を開く」というアホそのものである。
悪魔もこんなやつに崇拝されたらさぞかし迷惑だろう。これはキモオタとの握手会に臨むアイドルの気持ちに通じるものがあるのではないか。よって私はここに悪魔=握手券説を提唱する。しかしどこの学会に提唱すればいいのかわからないのが極めて遺憾である。
やがて本物のバンドリーダーが復活して、大したことのないアクションでハイジャック犯を皆殺しにする。しかしジャンボ機は既に墜落まで残り2分の状況。ここでハッカーがバンドリーダーに助言を送る。「俺はフライトシュミレーターで遊んだ経験があるから着陸の仕方を教えてやるぜ!」これで無事着陸である。2分で。こいつらは航空大学校をナメているのか。
こんな理屈が通るなら私は「俺はエースコンバットのプレイ経験があるぜ!」といって航空自衛隊に転職し、偉大にして高潔なる金正恩同志人造人間19号様の核ミサイル基地破壊ミッションをSランクでクリアできるだろう。ぜひ防衛省は私にオファーを出してほしい。どうでもいいけどエースコンバット0のラスボス曲の「ZERO」って射精するレベルで最高っすよね。
着陸時のシーンで許しがたい行為がもう一つある。神などクソ喰らえと普段から歌いファンを魅了してきたバンドリーダーが、いきなり逆さ十字のアクセサリーを引きちぎり、「神よ、我を救いたまえ」と言っちゃうのである。アイデンティティ完全崩壊の瞬間。例えるならばバグダディ容疑者がバドワイザーで乾杯しながら讃美歌を歌うようなもんである。
本作はもっと単純に、悪魔崇拝者のハイジャック犯に対して「俺達が本物の悪魔だ!」とメタルバンドがガチンコバトルを挑む決闘スタイルで攻めたほうが良かったのではないかと考える。服飾担当の仕事はしっかりしておりデスメタル衣装はバッチリだったことも併せてそう思う。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆