ワンコイン・ムービ-レビュー

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アルマゲドン20XX

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あらすじ

「無い」

 

 舞台は核戦争が起きた後のアメリカ。そこにはマッドマックス的なデストピアが広がっているのだろう。その期待は一瞬で裏切られる。「カナダとメキシコはこれ以上の難民を拒否」わずか数秒映っただけの新聞記事の一行だがここから読み取れる情報は多い。

 まず他国と難民についての交渉ができるということはアメリカ政府の外交チャネルが機能しているという事を意味している。また他国が核兵器の被害を受けていないという事は、核が使用されたのはアメリカ国内限定、すなわち第二次南北戦争の様な事態が発生した可能性が高い。すなわち本作は「やればできる国が何もせずにホームレスしてる」という虚無を観察する映像である。

 

 さて、本作はマジで何も書くことが無い。主人公のお兄やんは、「ヒマだから」と親父が残したラジオ放送局で酒を飲みながらCDかけて遊んでいる。そこにライフルを持ったオッサンが「ヤバイぜ」といってお兄やんと洞窟へ行く。道中で妊婦とその母親も合流する。

 

 洞窟の中では変なババアがビンを木につるして「ここには神聖なものしか吊るせないのよォ」と変な宗教を作っていた。神聖なもんを吊るしたけりゃお前の首でも吊っとけよと思っていたのもつかの間、変なババア2号が現れて「I want 妊婦の赤子」と叫び武装集団に洞窟を襲わせる。

 

 主人公と妊婦、妊婦の母親、そして人形使いのオッサンは生き残った車に乗って洞窟から脱出、かねてより連絡を取り合っていたラジオ局へと向かう。そこでは視聴者の交感神経を引っこ抜くがごとき展開が繰り広げられる。主人公は何の役にも立たない。変なババア2とその一味はなんか勝手に自滅して死ぬ。人形遣いのオッサンはいきなり変な催眠術を使いだし「これが君の心象風景だ」と散々モブキャラをビビらせたあげくいつの間にかフェイドアウトしていた。妊婦がちゃんと赤ちゃんを出産できたことだけが救いである。おぎゃあおぎゃあ。

 

 さて、本作はいったい何を表現したかったのだろうか?

 デストピアを表現したかったのか?綺麗な一軒家やガス水道は無いが、皆それなりに小奇麗な服きてちゃんとメシ食ってる。自警団と変なババアの戦闘はあるもののライフルの散発的な撃ち合い程度であり、この程度なら「ロスなら日常茶飯事だぜ!」とか言われそうでとても世紀末レベルとは言い難い。

 変なババアの宗教的狂気を描きたかったのか?絶対違う。ババアに個性が無さすぎる上に宗教といえるほど彼らの主張は奥深くない。

 そもそもタイトルがアルマゲドンというのもまったくもって意味不明のパッケージ詐欺である。非常に喜ばしい結果となってしまったが、本作は不快感しか残らない爽快感溢れるムービーである。視聴用としてよりは鳥よけとして田んぼに吊るしておく方がはるかに有益であろう。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上