ワンコイン・ムービ-レビュー

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ガチンコ 喧嘩上等

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あらすじ

「カスなタイトルからの、ミントの様な爽やかさ」

 

 主人公は高校生の番長。しかしケンカが原因で退学となってしまう。父親代わりのオッチャンは元ヤンから更生した自動車整備士で、受け入れ先の無い主人公のために奔走し、頭を下げて転校先を見つけてくれる優しい人物である。可堕性のある少年を護る模範的市民であると思ったのもつかの間、オッチャンは主人公に「入学祝だ。これに乗って初登校しろや!」と改造したヤンキー使用のスポーツカーをプレゼントする。ケンカによって退学になった少年に族車を贈り特攻させるとは、結局このオッチャンの知能指数チンパンジーレベルである。恩のあるオッチャンに逆らうわけにもいかず登校した主人公は案の上襲撃と言う名の歓迎を受けてめんどくさい目に合う。がその後3年生と和解する。

 

 転校先の学校では3年生 VS 2年生という対立が勃発していた。それは一体何故なのか。それは2年生を仕切っているリーダーの就職問題が原因であった。彼の兄は「スネーク」という聞いただけで頭の悪さがにじみ出ている集団を経営しており、ゆくゆくは弟に跡を継がせたいと考えている。そのためには3年のリーダーが2年の下につくことでハクを付けておいた方がいいという天才的な方針が提案されたのである。なおスネーク(笑)は一般市民に対し、殴る蹴るといった飛び込み営業をかけて車を借りパクして売り飛ばす誠意ある事業団でる。

 

 結果、3年生は思春期でイキがってるだけのちょいワルであるのに対して、2年生とスネーク(爆笑)はウンコ味のウンコレベルのクズであるため、本作はアホなヤンキーバトルではなく3年生による勧善懲悪ものと化している。パッケージから漂う阿呆のスメルからは想像もできなかった展開に胸が熱くなったことは告白しておかねばなるまい。

 

 ケンカのシーンは上手に撮影されている。タイマンのシーンは寄りの視点で迫力あるバトルを見事に演出して視聴者を飽きさせない。集団の乱闘シーンではスローモーションを多用することで、キャラクターの奮戦ぶりがしっかりと分かるよう丁寧な配慮がなされている。惜しむらくはボスの弱さであろう。2年生のリーダーは基本チュッパチャプスをなめながら「ヒャッハー」とわめいているだけで、いざ決戦となると3年のリーダーにフルボッコにされる。スネーク(核爆)のボスにいたっては、そこらへんのモブと大して変わらないレベル、いや下手をすればモブより弱い抵抗しか見せずにボコボコにされたあげく車で逃走するも失敗してさらにボコボコにされる。まあクズが3重奏でボコボコにされるというシーンは見ていてとてもスカッとするので特に欠点とあげつらうレベルではないのでこれは一種の芸術と捉えるのが良いだろう。

 

 以下は作品の評価に関係のない私の個人的な感想である。本作では3年生のリーダーが、抗争中にも関わらず妹に自転車を運転させ学校まで送迎させるというシーンがあった。ここが私としてはいただけない。兄は妹のためにのみ存在する価値がある生き物であり、ハリーポッターでいえば屋敷しもべ妖精に相当する。もちろん制作陣としては3年生のリーダーの人情味を描くこと、妹を2年生がさらうことで彼らのクズさを強調するという意図をもって多少無理に妹キャラを出したであろうことは重々理解できる。しかし妹しもべ妖精としてプライドをもって生きてきた私にとって、妹の守護は兄として譲れない一線であるということは主張しておきたい。

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上