ワンコイン・ムービ-レビュー

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ヴァンパイア侍

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あらすじ

「サムライとはいったい何なのか(哲学)」

 

 今から約400年前に、ある女が大した理由も無くヴァンパイアの集団に襲われて噛まれて感染してしまう。彼女は「ヴァンパイアになるぐらいなら死んでやる」と叫びハラキリを行い、感染を回避することに成功、そしてその後は人間とヴァンパイアのハーフとして現代まで生きることとなったのだ…。この女が本作の主人公である。なお本作品は400年前と現代をせわしなく行ったり来たりするわかりやすい構成力を誇っているので注意が必要である。

 

 まずは400年前における彼女の味方を見てみよう。彼女の師匠はヴァンパイアと戦うために武術を教えてくれる。それは「ウヒョァー」とか叫びながら竹刀をバトンのように振り回す実戦的な格闘術である。師匠を始めとする武士団の装備も素晴らしい。師匠は日本式の兜と刀に中国式の鎧を身に付けている。雑兵たちは韓ドラに出てくる李氏朝鮮民兵みたいな格好である。

 

 修業が終わった後、師匠は彼女に「これは仙台でつくられたヴァンパイアを倒す最強の刀だ」といって決戦兵装を手渡してくれる。その刀の柄はライトセイバーの様、鍔は特殊警棒型で刀身はレイピアである。この純和風の日本刀を見た時に、私はグローバル化した社会の恐ろしさを背筋に感じた。トランプ大統領が自国保護政策に走っているのはこの刀を見たからではないか、それほどまでにこの刀はおぞましい。

 

 現代を舞台にしたバトルシーンは圧巻の一言である。彼女とその取り巻きがアルミの棒のようなものをノタノタした動きで振り回す。付随する効果音はチャリンチャリンと小銭を落としたような鋭い響きで鼓膜にダメージを与えにくる。これが延々と続くのである。例えるならばそれは、旧日本軍の小規模夜襲のごときハラスメント攻撃である。視聴者にハラスメントして一体どんな得があるのか、私の拙い理解力では把握できない。

 

 ちなみに本作のラスボスはヴァンパイアで、ストリップクラブを経営する人格者である。彼は彼女に異常な執着を見せ、彼女を捕らえようとする。その理由とは一体何なのか?「彼女は人間とヴァンパイアのハーフだ。彼女と俺がSEXして最強のヴァンパイアを孕ませて世界征服するんだ!」表彰ものの馬鹿としか言いようが無い。一体何をどうしたらそんなロジックが組み上がるのか。小学生の読書感想文の方がはるかに考えて作られているだろう。

 

 ラストは彼女以外全滅して世界は平和で終わりである。エンドロール前に彼女は「私は戦い続ける。世界が闇に包まれるのを防ぐために」と夕日に向けてガンを飛ばす。私は彼女に対して、本作そのものが闇であるという事を伝えたい衝動に駆られている。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上