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こっくりさん 劇場版

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あらすじ

「ガキ共が外道すぎて同情できない」

 

 ある日、38年前に行方不明となった小学生男児の白骨遺体が発見される。それを境に、かつて男児のクラスメイトであった人々が次々と変死してゆく。ヒロインの母親もその1人で、その死に顔は、かびるんるんに寄生された某自律型菓子パンの様に不気味な紫色へと変色していた。

 

 一体なぜこんな怪死が続くのか。ヒロインが悩んでいるところに、1人の男性が現れる。彼も親が男児のクラスメイトであり、同じく変死した原因を探っていた。2人は協力して過去を知る関係者などに聞き込みを行い事実を掴む。それは「行方不明になった男児はオカルト好きで特にこっくりさんが好きだった。死んだかつてのクラスメイト達は男児をいじめまくったあげくに崖から突き落として殺害した。死に際に男児こっくりさんによってクラスメイト達に放った呪いが遺体発見を引き金に発動したのだろう」というクソの様な物語だった。こんな話を聞かされてはホラーもへったくれもない。ただ単に過去の罪によってクズ共が処刑されてるだけのパニッシャームービーではないか。私はむしろ男児の方に同情する。

 

 ところでこっくりさんとは一体何なのだろうか。私の記憶ではオカルティックな占いの一種であったと記憶しているのだが、本作では完全に呪殺マシーンとして機能している。例えるなら、新宿の母がドスを持って切りかかってくるようなもんである。怖けりゃなんでもいいじゃんでは困る。怪談として一般的に知られているものであるならば、改変するにしても原作への敬意が必要であると愚考するが本作にはそのような気配りは一切無い。

 

 さて、クズのクラスメイト共が全員死んでハッピーエンドかと思えばそうではなかった。男児の怨念は強すぎてクラスメイト末代まで祟るレベルであったのである。協力者であった男性も呪い殺され、恐れおののくヒロイン。そこに通学先の女性数学教師が現れて「アナタ憑かれてるわよ」と視聴者から見れば今更かよレベルの忠告を下してくださる。教師は「こっくりさんを倒すにはこっくりさんよ」とか言い出してヒロインとこっくりさんを始めて「呪いを解きたまえ!」と叫びまくるが残念無念。2人はこっくりバトルに敗れて衝撃波を喰らってしまう。

 

 教師は第2案を提言する。「普通のこっくりさんじゃダメ。男児がかつて使っていたこっくりさんセットを使わなければ駄目なのよ」と言い、男児の遺族の家へ侵入し、遺品を窃取する。そして行われるこっくりバトル・セカンドステージ。バトルは一応の成功をみ、ヒロインは呪いを解くため男児と対話すべく異世界をさまようこととなる。

 

 このシーンが本作で唯一恐怖感を十分に感じられるパートであった。薄ぼんやりとしたランタンを片手に古い木造校舎をゆっくりと歩いてゆく、ギシギシと響く足音、一寸先は何もわからない視界、この十数分は評価に値する。残念ながらラスボスの造形は変な紫色の霧で全然怖くないし、結局ヒロインはこっくりバトルに負けて異世界へ幽閉されてしまってバッドエンドである。

 

 なお本作に登場する俳優たちの演技力はクソを煮詰めたクソスープレベルである。わざとらしい過剰なリアクションか、淡々と無表情でセリフを棒読みするか、2パターンしか無い演技力をみていると悲しくなってくる。声だけでも声優に頼んで吹き替えにした方がいいのではないかと思えるレベルである。そうすれば邦画(吹き替え版)というわけのわからんジャンルが誕生したであろうと妄想してみる。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上