TATARI
あらすじ
「視聴者に苦痛を与えるという意味では確かにタタリ」
「昔々あるところに頭のバグったお医者さん達が、精神病の患者を実験台にして好き放題やらかしてたら火事で死にました。生き残ったのはバグ医者の部下5人だけでした。」という微笑ましい昔話から映画はスタートする。
その病院跡で誕生日会をやることが決定する。主催者はおしどり夫婦。夫は実業家の金持ちで、嫁は財産目当ての銭ゲバである。招待された客は夫婦と面識がない。どないなっとんねんと夫婦でもめていると鋼鉄のシャッターが建物を封鎖して、誰も外に出られなくなってしまう。夫婦はお互いに「お前がやったんやろ」と森喜朗古墳建設問題レベルの責任感みなぎるなすり付け合いを始める。
その後は特に深いストーリーも無く登場人物が館をウロウロする。そして死んだり、死んだと思わせといて実は生きてたけど死んだりする。死に方も全然怖くない。霧の様な怨霊に揉まれてミイラになったり、体をバラバラにされた状態で見つかったりするのだが、そういったグロシーンはちょろっと映るだけであり、グロテスク映像好きのニッチ需要も満たすことができていない。
一応本作のロジックは「霧は犠牲になった患者たちの怨霊で、招待客達は生き残ったバグ医者の部下の子孫。怨霊は子孫に復讐するために彼らを屋敷に呼び寄せたのだ」というものである。これだけ読めば意味は通じる。しかし実際には霧の中にはバグ医者も存在しており「次の患者は君かねゲヘヘ」とか言いながら襲い掛かってくる。何が悲しくて加害者に祟られなくてはならないのか。完全にロジック崩壊である。
BGMもロック調で恐怖感台無しの素晴らしい演出である。例えるならばそれは、セックスピストルズを流しながらサイレントヒルをプレイするようなものである。
怨霊のシーンの合間では夫婦による財産分与がどうのこうのとかいう死ぬほどどうでもいい金の話が挿入される。しかもその金の話はストーリーには何の影響も無い。ホラーならホラーでちゃんと本筋を貫いてほしい。低予算映画ならなおさらだろう。ただでさえ少ない資源を分散投入するからこんな悲惨なものが出来上がってしまうのである。
「これは夏のテレビでやるホラー特番の素人芝居なんだ」と暗示をかけ、何とか最後まで視聴することに成功した。もはや私にできる事は、読者の皆様がこのクソ映画によって貴重な時間を祟られないように祈ることだけである。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上