ワンコイン・ムービ-レビュー

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ニトロ

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あらすじ

老害とバカのシンフォニー」

 

 「間男に彼女を奪われたから取り返す」その一念で、主役のヒゲ男は女友達と共に、彼女がいると思われるアパートへと踏み込む。しかし間男は始めから存在しておらず、アパートには2人のバグったクソジジイがいて女性を爆殺していた。爆殺の理由は「最近の若者は語彙が足りない」「最近の若者には人生計画が無い」といった憂国感に満ち溢れた至極真っ当で正当性が担保された主張である。彼等はまさにTHE・老害の名に値する救国の国恥人である。

 

 この老害ズも大概なのだが、主役の男も相当高レベルの低知能である。老害に一時拉致された女友達を救出するまではよかったが、その後「君は単独で逃げろ。俺は彼女を助けに行く」とヒーロー気取りで無謀なプランを真顔で提案する。精神的ショックを受けた彼女を単独行動させる心配り、もし彼女が再び老害に見つかった場合どうなるかのリスクを考えない予見性。主人公には2人1組で脱出を最優先し警察を呼ぶという方法は思いつかなかったようである。

 

 主役の男はなんとか彼女を発見することに成功するが、彼女の全身にはニトログリセリンが塗りたくられており、下手に動かせば爆発してしまうという。素直に警察を呼んでいれば爆発物処理班が安全に彼女を救出できたものをと考えると、こんなバカと交際した彼女のことが哀れで仕方がない。あげく主役の男は「背中にはニトロがなさそうだからビニールシートに乗っけて上まで引っ張っていくぜ」と安全極まる移送手段を実行に移す。その間に女友達は脱出ルート捜索途上で全裸の女ゾンビ軍団に襲われて死にかける。

 

 なんとか脱出に成功した女友達は隣家に助けを求めるが、そこではヤク中達がパーティをしており「ポリなんか呼べるかボケ」と温かい言葉で迎えてくれる。その割にはこのヤク中達は協力的で、ツルハシを持ち出して老害ズを攻め立てる。最終的に老害は、1人はゾンビに引き裂かれて死亡。もう1人はニトロで内臓を爆破され死亡である。

 

 本作は設定もストーリーも愚かの一言に尽きる。老害の犯行動機はクソである。そもそも全裸の女ゾンビはどうやって作りだしたのか何の説明も無い。これらの破たんした設定に主人公たちの阿呆ぶりが拍車をかける。しかし本作を何とか好意的に解釈しようと「おじいちゃんたちとおばかちゃんたちが追いかけっこ!ゾンビもヤク中も出るよ!」とキャッチコピーを作ってみたのだが、いかがなものだろうか。つくった私が言うのもなんだが何のフォローにもなっていない気しかしない。しかしこれ以上本作を擁護するのは不可能である。

 

最後に国を憂いて多数の罪なき若者を殺害した老害ズに以下の言葉を送って本文を終えたいと思う。

 

“実年者は、今どきの若い者などということを絶対に言うな。なぜなら、われわれ実年者が若かった時に同じことを言われたはずだ。今どきの若者は全くしょうがない、年長者に対して礼儀を知らぬ、道で会っても挨拶もしない、いったい日本はどうなるのだ、などと言われたものだ。その若者が、こうして年を取ったまでだ。だから、実年者は若者が何をしたか、などと言うな。何ができるか、とその可能性を発見してやってくれ。”

山本五十六

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上