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アルマゲドン2012

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あらすじ

暗黒物質により地球が半端なくヤバい」

 

 本作のストーリーは、人類から知性や論理といった類の能力が消失した場合、どのような展開が想定されるかというシミュレーションとしてなら参考になるかもしれない。

 ある日地球と火星の間に暗黒物質が発生。このままでは地球は消滅してしまう、さあどうするべ。これに対して合衆国が結集した叡智は「粒子加速器を使って素粒子でできた暗黒物質を作成し、ワームホールを作り出して相殺する」などと意味の分からない言語を発明する。そんなん無理やで、とスタッフから言われると「じゃあ核兵器でなんとかするぜ」と画期的な提案を繰り出すこの様式美には感動すら覚える。

 結局アメリカが撃ちこんだ核兵器の連続攻撃により暗黒物質ワームホールと化して地球はタイムリープ。問題は解決されたのかされなかったのかわからないままスタッフロールが流れ出す。まさにエンドレスエイト(アニメ版)が霞んで見えるほどのゴミのごとき構成。映像の本場アメリカの才能にはもはや深く首を垂れる以外の選択肢を見出すことはできない。

 

 なんとか正気を取り戻そう。ストーリーはあえてバカに作ってあると好意的に解釈して登場人物に目を移してみよう。それは無駄な努力だった。本作には明確な主人公は定められておらず、群像劇の形をとってキャラクターが描写される。そのキャラクター達には何の魅力も無い。

 暗黒物質対策のため呼び出された「統一論(笑)」の学者2人は、バンド崩れの髪型をしたアラサー女とヒョロいメガネ男であり、彼らは前述のワームホールがどうたらというクソの様な理論をリピート再生するスピーカーとしての機能以外は何も持っていない。

 大統領はスキャンダル野郎で妻にも見下されるクソ男である。しかし彼は危機にあって「みんなに勇気を与えたいんだ」と名演説を披露する。「神のご加護があらんことを」という定型文に見られる彼のカリスマ的演説力は破壊的である。

 自閉症だが記憶力がいいという設定の男性は、薄汚いデスクトップPCで暗黒物質の撃退法を1人で計算することに成功する。個人の能力の限界を超えたこの行動は、NASAのコンピュータ技術に対する痛烈な皮肉ではないかと勘ぐってもみたがおそらく的外れだろう。自閉症に対する偏見的な理解に基づく薄っぺらいキャラクタライズというのが正解であろう。彼の計算を本部に届けるために彼の兄が車を駆って疾走する。ちなみに彼の兄は公職である市長の責を背負う人間であり、この行動は完全な公務放棄であることは忘れてはならない。

 

 端的に申し上げれば本作は救いようのない哀れな映像としか言いようがない。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上