ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

宇宙戦争ZERO

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あらすじ

「田舎町を突如襲撃した甲虫型エイリアン。生き残った住民たちは決死の防戦を繰り広げる」

 

 本作の主人公は列車強盗で死刑判決を受けた元軍人。さあ死刑執行というタイミングでエイリアンの襲撃を受け、生き残ることになる。その後は謎の人望によって生き残りたちを指揮することになる。指揮能力や発言にバグった点は無く、好印象を持てる主人公である。脇役たちも負けてはいない。街の保安官は懸賞金を出し渋るケチな小役人、商店主は物品を高値で売るぼったくりジジイのように当初描かれる。しかしながら危機にあって人の本質が現れるということか。保安官は重傷を負いながらも街を守る闘志を失わず前線へと赴く。商店主は負傷者救護や敵に対抗するために必要な物品を惜しむことなく無償提供する。さらに老齢にもかかわらずその身を危険にさらし戦闘にも協力する。

 

 ストーリーは中盤までが特におもしろい。本作の時代設定は19世紀末のアメリカである。しかもド田舎。強力な武器はまともにない。威力偵察のごとく徐々に迫りくるエイリアンを相手に拳銃で奮戦し、ダイナマイトを最終手段として戦う状況は、キャラクターの魅力も相まって素晴らしい緊迫感を演出している。閉鎖的な田舎町で貧弱な装備に生存を懸けるサバイバルムービーとして本作は十分満足できる出来である。

 

 ストーリー後半は「エイリアンの目的はウランだから、鉱山で採掘したウランをエサにして敵を引きつけてダイナマイトを爆発させて空中の宇宙船ごとふきとばそう」という強引な展開になってしまう。中盤までの出来の良さに比べれば急に粗くなった感は否めないが許容範囲である。500円で買った映画にそこまでいうのは酷であろう。

 

 唯一うっとおしいのは賞金稼ぎを名乗るクソ女である。彼女は「私は早撃ちガンマンよ」「賞金をよこせ」とバカの一つ覚えのように延々と繰り返し仲間の連携を乱す。他人を足手まとい呼ばわりするくせに自分は戦闘では大した役には立たない。それどころか負傷者を含む生き残りを見捨てて、馬を奪い一人で逃げ出そうとする気高い闘争心を保有している。あげく後半作戦で必要なウランを「金になるから」との理由で盗もうとして駄々をこねる。最終的に彼女はエイリアンに捕捉され右胸を撃ち抜かれる。泥の中で彼女がくたばるシーン、その瞬間だけは胸がスカッとする爽快感を覚えたことは否定し難い。制作サイドとしては男性的なヒロインがほしかったのかもしれないが、男尊女卑の19世紀に無理やり女ガンマンを登場させるのはリアリティ面からいっても適当ではないだろう。わざわざ性格の悪いババアを出すくらいならオッサンたちの活躍を追加した方がよかったのではないかと愚考する。

 

 総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上