ワンコイン・ムービ-レビュー

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ソーラー・ストライク -サード・インパクトー

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あらすじ
「熱波の影響によりドイツの一地方は深刻な水不足に。ライン川までもが干上がる状況で人々は生き残れるのか」

 

 本作の主人公である女科学者は、水不足の発生を早期に予見して知事に進言し、対策室を立ち上げる。しかし彼女の活躍はここまでである。彼女は危機をアピールするだけしておきながら、じゃあどうすればいいのかというまともな対抗策は全く打ち出さない。やることといったら関連施設の視察ぐらいであり、その活躍は蓮舫に匹敵する。周りの連中が無能な上に横やりを入れてくるというマイナス要因を差し引いて考えても彼女の能力を評価することはできない。

 

 彼女は民間発電所の貯水池を開放することで問題を解決しようと発言するが、ライン川が干上がるような事態において貯水池一つの水量にどれだけの意味があるのか理解不能である。そもそもここまで事態が深刻になれば、話は一地方だけで終わらせてはならないだろう。しかし彼らは中央政府との連携や、海外からの水輸入という考えは持ち合わせていないようである。危機的状況がカウントダウンを刻む中、主人公は貯水池管理人のオッサンとラブロマンスをおっぱじめ、市民が水不足で苦しむ中、貯水池で泳ぎながらじゃれあうというファインプレーを見せつける。

 

 そうこうしている内に政治的圧力によって主人公はクビになる。だからといって事態は好転しない。後任のオヤジは主人公に輪をかけて無為無策である。彼が率いるチームは「給水車を走らせ、水を市民に供給しよう」と提案する。なおこの案自体は、主人公がチームリーダーであった際にも一応言及はされていたものである。給水車が運用できるってことは、水源はちゃんとあるんじゃねーかとツッコミを入れてはいけない。この程度の事でツッコミをいれていたら本作は視聴できない。スタッフの1人はこの案に難色を示す。その理由は「水を汲む人や配送する人が私利私欲に走ったら制御できない」というものである。おどろくべき状況把握能力である。大規模給水活動を市民にやらせるつもりとは。これだけの緊急事態において、一般市民にそんな重い責任を伴う仕事を押し付ける気マンマンでプランを練るとは舐めているとしかいいようがない。このスタッフ連中を税金で養う意味は皆無であると断言できる。そもそも彼らは軍や警察、消防と言った組織の存在を知らないのであろうか。我が国においても阪神淡路や3.11に見られるようにこれら組織が給水支援に活躍している。ドイツにできない道理はないだろう。

 

 クソの様な本作の締めは「なんだかんだで給水は上手くいったし、雨も降ってきたからオールオッケーっしょ」という視聴者を侮辱する素晴らしい論理展開によるものである。さらに挑発を重ねるように、「人と人が連帯することが大事なんだよ」と、とってつけたような綺麗事をほざきだす。しかしながら本作においてまともな連帯は行われておらず、仮に行われていたとしても登場人物が全てバカである以上どうしようもないことは義務教育を終えた人類ならば誰でもわかることである。

 

本作からなんとか価値を見出そうと、無い脳みそを振り絞って考えてみたが全く思い浮かばない。せいぜいが「災害対応時の反面教師として教材利用できないか」と言った程度のアイデアが浮かぶのみであるが、こんなものを渡された自治体サイドは間違いなく本作をゴミ箱に放り込むことが予想される以上、もはや無駄な努力であり私は考えることを止めた。

 


総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆

 

以上