ワンコイン・ムービ-レビュー

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アルティメット・エージェント

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あらすじ
「マフィアを潰すために歌手デビューする」

 

 本作は非常に爽快感のあるまともなアクションコメディである。冒頭からのアクションシーンを初めとして、特に中だるみも無く最後まで楽しめた。主人公は警察の潜入捜査官で、悪の武器密売マフィアを倒すために、マフィアのフロント企業であるレコード会社に潜入するために歌手になる。随時に下品なギャグを交えながら格闘戦、銃撃戦を繰り広げワルをぶちのめす簡潔なストーリーは実にすがすがしい。

 

 本作最大の魅力を輝かせる登場人物は主人公の妻である。主人公は職業上守秘義務があるので妻に仕事のことは話していない。結果彼は妻にプー太郎として認識され、「役立たず」「いない方がマシ」と罵られる。あげく「良い夫になるための掟」なるものを創設し、毎晩夫にそれを唱和、拝ませる恐るべき鬼嫁ぶりを見せつける。

 

 ところで主人公が歌手デビューした経緯について、「嫁の愚痴を歌にしたらヒットした」という要素がある。この歌詞には彼の悲哀が込められている。一部抜粋すると、「僕の嫁は醜いババアだ」「自分の妻の顔を整形したくなる」「殺してやりたいが刑務所が怖い」などというボロクソな歌詞であり、こんなものがヒットするタイの民度については不穏なものを感じざるを得ない。なお顔については夫婦ともに五十歩百歩であり、主人公は顔パンパンのげんこつせんべいのような容姿である。

 

 この曲を聴いた嫁は当然激怒、単身レコード会社に殴り込みをかける。そしてマフィアに捕まるのだが、みじんも臆することなくそれどころかマフィアに向かって悪態をつきまくる。やがて捜査中の夫と再開し共に行動するシーンでは、夫を援護するために“ピックアップトラックに搭載された重機関銃”で多数の敵をあっという間に排除する射撃の“技術”を披露する。まさに二重の意味で“テクニカル”な妻である。彼女は東南アジアの女子力の強大さを見せつけたアジアの誇る英雄であるといっても過言では無い。

 

 本作では何の脈絡も意味も無く変なキャラが登場する。半裸の男臭いマッチョや二刀使い、西部のガンマンなどストーリーには何の関係も無い。その中の1人に我らが日本国が誇る侍も登場する。彼は大量のロウソクに囲まれる中正座し、やおら立ち上がり刀で演武を始めるのだが、ロウソクの炎が彼の和服に飛び移り焼死するという愚かな最後を遂げた。この光景がいったい何を意味しているのか私の拙い理解力ではわからなかったが、いい加減に日本を誤解するのはやめていただきたい。

 


総合評価・星4つ(ステキやん?)
★★★★☆

 

以上