ワンコイン・ムービ-レビュー

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ジュラシック・サバイブ

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あらすじ

エクスプロイテーションポリティカル・コレクトネス映画」

 

 宇宙船が墜落した先の惑星には肉食恐竜がいて、そいつらが生き残りの人間どもに襲いかかるという本作は全米感涙必須のゴミ映画である。

 

 本作最大の罪状は“恐竜にロマンが無い”という、人類と恐竜の間に結ばれた平和条約を侵さんとするA級戦犯的愚行に求められるだろう。“雄大”あるいは“敏捷”それに対する“畏敬”といった表現を本作から見出すことは不可能である。例えば宇宙に対して抱くような恐怖にも似た信仰心、それがあるからこそ我々は敗北を察しつつも「ジュラシック」と書かれた5流パッケージに金を払う責務を負っているはずではないか。

 

 本作に登場するのはヴェロキラプトル型とティラノサウルス型の恐竜である。もちろん両者に差異は無い。ギャーギャーわめいて人を噛むだけのCG製トカゲである。この“両者に差異は無い”という表現は当然ながら人類皆兄弟のメタファーに間違いない。イエローモンキーもホワイトトラッシュもニガーも皆同じブタ野郎である。本作は立派なPC映画として、人種差別の本場であるフランスの関羽だかジャンヌだかの映画祭に出品されるべき白眉である。

 

 登場人物も実に魅力的である。「俺はガンで余命2か月なんや」といいつつ、その事実が筋に何の影響も与えないまま放置プレイを食らうオッサン。「運転中に酒を飲んで免停をくらった」というナチュラルに死ぬべき女。火山に向かって「オヤジ!ありがとう!」と叫ぶキチガイ。木製の槍でヴェロキラプトル型を相手に無双するモジャデブなど、いてもいなくてもどうでもいい型と無駄に濃い割にはその濃さが全然生きていない型の2種類の種族が共存するこの世界。ラストはもちろん石器を両手に恐竜の群れにバンザイチャージをかけてハッピーエンドである。

 

 タイトルに躍るサバイブという文字を見て、この手の搾取型映画がサバイブしている現状を嘆くと同時に、そのサバイブに金銭面で貢献しているわが身の愚かさを噛み締めた次第である。ゴミと向き合うためにはゴミを買わねばならず、その結果ゴミが延命するという煉獄の庭園で、しかし私は抵抗の引き金を引き続けるだろう。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上