ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ギガンテス

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「特殊、部隊、というのはぁ~(ネットリボイス)」

 

 米軍が東欧でサソリ+ゴキブリ+ヒト+チタン合金骨格の生物兵器を開発していたら逃げ出されて軍人が死ぬでござるという本作は特に際立った点を見出せない量産型のゴミ映画である。

 

 米軍特殊部隊を率いるオッサンの顔面は石破茂のそれであり、「部下の命が大事」と宣言する彼の行動は特に結果を伴うこともなく部下は死ぬ。優秀だがスタンドプレーを好む反骨精神モリモリの兵士も特に魅力を見せることなく壁のシミと化していた。本作に登場するキャラクターに、総じて魅力はない。

 

 それよりも問題なのは緊張感の無さだ。現場で何か問題が起こるたびに戦場から会議室へと場面転換、石破茂がお偉いさんとワチャワチャ喋る。当然ながらこれらシーンは「お前ら敵の本拠地で何悠長に話しとんねん問題」を誘発している。

 

 モンスターを捕獲するための檻をつくろうと発案がなされた後、敵が潜む本拠地で、周辺警戒も無く、兵士たちが盛大に檻をDIYし始めたときには何とも言えぬ負の感情が湧きおこったことだけは告白しておく。

 

 幕間も実に愉快だ。フィフィみたいなツラをした女兵士が「私は男にはまけねェ!」と啖呵を切り、男兵士相手に腕相撲を挑んで敗北するスタイリッシュフェミニズムシーンは凄まじくかっこ悪すぎる。女兵士は「私は利き腕を使っていねェ!」と宣言するがそれが阿呆の裏付けにしかならないのは自明である。戦力の出し惜しみなど愚策。兵士がそれを理解しないとはもはや表彰モノのバカである。

 

 「モンスターは貴重なサンプル!全匹捕獲せよ!」→(モンスター強い)→「捕獲は1匹でええわ!後は殺せ!」→(モンスター強い)→「全匹爆弾でブッ殺そう」という上層部の方針転換は見ていて清々しい。誤った敵戦力過小評価に基づく作戦変更の連続という理知的なフローチャートを見て、私の脳裏を「ガダルカナル」の6文字が疾走したのは果たして偶然だったのだろうか。

 

 無理やりなんとか本作から魅力を見出そうとすれば、それは冒頭で少し述べた特殊部隊指揮官に帰結するだろう。およそ軍人とは思えないアンパンマンみたいなほのぼのした顔面。ど・う・し・て・も、ベレッタM93R改を手に前線で戦う石破茂が見たい!という変態がもしいるのなら、本作を購入したとしてもそれを犯罪だとは思わない。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上