ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

地球外生命体捕獲

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あらすじ

「会社爆発しねえかな」

 

 ガキの頃に宇宙人に拉致られて人体実験を食らった、そんな彼らも成長して立派なオッサンへと成長した。変な方向へ。汚いネルシャツと銃火器を身にまとい、彼らは夜な夜な森へ出かける。目的は自分たちを拉致した宇宙人を捕まえるためだ。彼らは目的を達成する。捕まえた宇宙人をいたぶったり、逆にいたぶり返されたりされるお茶目なシーンが続いた後、やってきた宇宙人の援軍が爆弾でフッ飛ばされてハッピーエンドかと思いきや、主人公の「まだまだ不安だぜ…」フェイスで歯切れの悪いエンドロールへとつながる。

 

 宇宙人をボコボコにしたり、宇宙人にボコボコにされたりする本作のグロ描写を素直に愛でるのも一興だろう。鎖でぐるぐる巻きにされた宇宙人のSMプレイ、万力で宇宙人の頭部ギリギリ、キレた宇宙人によるオッサンへの熱い内臓綱引きなどはソーセージをおつまみに見ると美味しさ倍増だろう。

 

 ところで本作では宇宙人の脅威についてこう語られる。「決して手を出すな」と。報復が待っているからというのがその理由であるが、登場人物たちはその忠告を前に踏みとどまれない。

 

 刃向かえない。けれどムカつく。なんとか一矢報いたい。報いたところで何も変わらない。本作における宇宙人は我々の生きる「社会」を悲観的に捉えていると解釈するのは拡大的にすぎるだろうか?いや、たとえば「社会」を身近な「会社」に言い換えてみればわかってくれる方もいるのではないか。

 

 長時間労働、休憩無し、安月給。かといって上司をぶん殴ればクビである。一矢を報いる?ささやかなそんな試みは自己満足の域を出ず何も変えることはできない。私がかつて医療事務をしていた時は退勤時に病院の看板に唾を吐きかけて帰っていた。退勤時間がだいたい深夜の3時頃だったため、それを「3時のおやつ」などとほざいて1人笑っていたが、冷静になって今考えたらただ単にバグっている悲しい存在である。そんな私にいったい何ができたというのだろう?

 

 「血だ!内臓だ!イエーイ!」と喜ぶ脳の片隅で「社会出たくねえ」との悲壮感をくすぶらせるのが本作の味付けだと私は考えた。悪い映画ではないと思うが、私は嫌いである。だって何かができる存在になりたいじゃないですか。微力でも。そのためには信じるしかないですよね。社会を。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上