あらすじ
「坦夷」
本作の物語には山も谷もない。軍の演習場でパーリーピーポーしていたバカ男女が宇宙人に1人ずつ拉致られていく。坦々と。ワンパターンに。
主人公と思しき男性はご丁寧に長セリフで状況を説明してくれる。それは非常に論理的だ。「宇宙人は地球人を標本にしている。俺の叔父はアメリカ空軍のパイロットだったんだけど、レアな刺青を彫っていたから宇宙人に拉致されて生還したんや。だから俺は頭痛を伴う悪夢をみている。みんな死ぬんや。」
秀逸なのは「だから」以下の華麗なる接続文脈であろう。この文章単体でみても意味を成していない。さらに映画本編の中で叔父の設定が全く生きてこないどころか主人公の頭痛も全くストーリーテリングに寄与していない点が恐ろしい。小学校低学年の読書感想文のほうがまだ訴求力がある。
主人公たちは宇宙人に対抗するために携帯電話を分解してIEDを作る発想力を披露したかと思えば次の瞬間には木製投槍による旧石器時代的戦闘を営む。この本作のコントラストは特に一見の価値はない。ラストはバギーで宇宙人をひき殺して朝日を眺めてエンドロールである。
本作から何か優れた点を見出そうとする努力は、95式軽戦車でM4シャーマンを撃退できるかという難易度に似ている気がする。乱発される宇宙人視点のシーン、深夜の山中が舞台のはずなのにライトが明々と輝く漆黒表現、シャワーを浴びる女優のシーンでは逆に裸体が陰で隠れている。
わずか80分という上映時間のすべてが小便で煮詰めたクレアおばさんのシチュー状態である本作。購入はとてもお勧めできない。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上