ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

アドレナリン:MAX

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あらすじ

早漏(良い意味で)」

 

 マフィアを潰すために証言をしようとしていた会計士が頭部を銃撃され病院に担ぎ込まれる。迫りくるマフィアの追撃の手。緊急手術が終わるまで彼を守らなくてはならない。護衛の刑事は手にしたハンドガンに初弾を装填する…。

 

 本作の美徳は無駄というものが殆ど無いストーリーテリング、これに尽きるだろう。その証左はわずか80分という上映時間だ。「ここが舞台となる病院です」「私たちは悪い奴らです」と流れるように網膜を泳いでいくそれら説明シーンは必要最小限の構成をとっているために説明臭くない。

 

 なおかつ、襲撃→軽いコメディ→襲撃といったテンポを確保することにも成功している。話に緊張と緩和が存在しているのだ。実に素晴らしい。アホみたいなタイトル、ジャケットかとは裏腹に、本作の背骨は頑健だ。

 

 もちろん本作に対して無制限の万歳三唱スペシャルを送れるかといえばNonである。本作の弱点はカメラにあると考える。具体的に言えば映像に奥行きが無い。レンジが狭いのだ。ショットガンでいえばスラッグ弾である。役者の全身を撮ることに全身全霊を傾けているのだろうか、それに集中するあまり舞台が撮れていないのだ。アクションにおいて、それは視線誘導の欠如となって現れる。加えて激しいブレも見過ごせない。特にアクション以外のシーンで。率直に言って気持ち悪い。酔う。

 

 キモオタ的には主人公が使うガバメントがプラスチック丸出しの質感で嫌であった。この手の安っぽさは映画のアクションシーンを公園でエアガン撃ってる小学生のレベルにまで変質せしめるため気を付けてほしいなあと思いました。さらにキモオタらしくキモいことを言えば主人公のガバメント、アイアンサイトの大きさから察するにM1911A1だったんですよね。2009年にドイツで作られた現代を舞台とする映画でさすがにM1911A1は旧式すぎやしませんかね。そう思いませんか奥さん?

 

 一番イヤだったのは敵の殺し屋の魅せ場である。その殺し屋はタイトなスーツに身を包み、戦闘中でも櫛で髪を整え、麻酔無しで傷を縫合するようなクールターミネーターなキャラクターである。そんな彼はバイクのハンドルの内側に2丁のMini UZIを装着して突撃してくる。もちろん両手はハンドルを握っている。じゃあどうやって撃つんだよ!答えは簡単。トリガーにくくりつけた紐を歯で引っ張るのである。その絵はまさにアホ面。クールは、どこへ、消えた。

 

 ここまで書いてみると予想以上に欠点のほうに文量が割かれているような気もするがケンチャナヨ。カメラは下手だしバカは出てくる。でも単純な筋を単純な時間で撮り切った手腕が欠点を目立たせない。もちろん審美眼を持つ極一部の視聴者は別だろう。しかし私のような知性に乏しい馬鹿豚ポップコーンの目をくらます程度には仕上がっている。500円ならどぶに捨てても惜しくない、そんな貴方なら、ワゴンを漁ってみてはいかがかな。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上