ワンコイン・ムービ-レビュー

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アザーズ 捕食者

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あらすじ

「戦闘でごまかそうとするPV」

 

 企業の研究所で事故が発生。事後処理のために5人の傭兵と1人の霊能者が突入してモンスターに向かって銃を撃つという本作。一見単純明快な娯楽作品に思えるが残念ながら本作は評価するに値しない。

 

 もちろん良いところが皆無というわけではない。本作の戦闘シーンは嘘くさくない。それは確かに美徳である。具体的に言えばトリガーコントロール銃口管理、フォーメーションの組み方がしっかりしているためアクションに説得力があるのだ。冒頭で隊長が、使用する45口径拳銃に関してキンバー派かスプリングフィールド派かといった話題をさりげなく出してくれるところもキモオタデュフフポイントである。

 

 ポイントマンとして同行する女霊能者。彼女の設定に係るセットアップは無駄に長い。「私は一マイル先の敵を探知できるわ」「私の念力でコーヒーカップを動かすわ」といった説明がなされたあげく、その設定は作中で全く生かされない。モンスターと接敵した彼女は叫ぶ。「バケモノからは“気”を感じないわ!」。なぜ、このキャラクターを。

 

 音楽もフォルミダーブルである。本作を彩らんと、ドラムがズンドコ、コーラスがワンワンと、緩急というものを知らずに鳴り続ける。その上に覆いかぶさるのは銃声である。まるで選挙カーのような清々しい環境権擁護思想を、この混声合唱から見出すことは十分ケパーブルである。

 

 とどめはいわゆる当世風の味付けというべき演出過多である。スローモーション、早送り、一時停止に色調加工。とりあえずやっとけばええやろ的に続々と投入されるそれらはまるで新兵だけで構成された戦時編成中隊のようで非常に心強い。もちろん私の審美眼はクソであるため、これら表現の意図を読み切れていないという可能性は否定しない。しかしそれにしても、足がもつれて床に頬を打ち付けた中年オヤジの顔をクロースアップ、一時停止して白黒映画風に加工したのには何の意味があったのだろうか。

 

 筋という中身が無いまま、戦闘というガワだけでとりつくろった5流作品。本作に対して抱いた感情は負である。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上