ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ウォーターメロン

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あらすじ

「大きいおっぱいはイヤ!」

 

 本作を見て湧き上がった感情はまず「この映画は結局何が言いたかったんだろう」という消化不良感である。主人公の女性はティーンエイジャーの頃から自身の巨乳がコンプレックスだった。やっと巨乳を気にしない男と結婚できたと思ったら彼には虚言癖があったのだ。ワタシは一体何を信じればいいのよぉんと軽く悩むのが本作のアウトラインである。

 

 あえて良いところから挙げていくならそれは男性性の醜悪さに係る描写、この1点に見出せるだろう。彼女の上を通り過ぎて行った歴代の男たち。そのSEXは一方通行だ。男たちは彼女を愛撫せず彼女の乳を愛撫する。銃弾のような圧力で魂をかすめる接吻など望むべくもない。欲望を発動機とした乳への愛なき打撃。揉みしだき、しゃぶりつくし、そこに顔をうずめ射精する。性処理と呼ぶにふさわしい醜いオートマタ。男性読者諸氏が見たならぶら下げた珍棒をみっともなく思う瞬間だ。

 

 問題はその醜い男性性への返答が見られない点だ。彼女は悩む。しかしそれは自身の巨乳についてではなく夫の虚言癖についてである。やれ会社にマフィアが来たから退職しただの携帯を拾ったらラブホでヤクザに殴られただの親父がタケコプターをプレゼントしてくれただの…。しかしラストでは夫が地震と共にタケコプターを起動。空中浮揚しつつ巨乳に興味は無いって言ったけど実はありまぁす!でもそれ以外ボクはウソをついていませぇん!と告白してティロ・フィナーレである。

 

 もう一度吐き出したい。本作は一体何を表現したかったのか。男はキモいと表現したいだけ?それではSEXシーン以外の場面をうまく説明できない。男性性に対する女性性の精神は全く描かれていない。虚言癖を中心に据えた人間ドラマにしてはタケコプターを引き合いに出すまでもなくお粗末すぎるしそもそも巨乳は何の役に立ったというのか。

 

 幕の内弁当のようにいろんな要素を盛り込んでみたけど結局調和しませんでした、というのが私の受けた印象である。分散された戦力は機動をもってその真価を発揮するというようなことを本で読んだ記憶がある。本作においては配置された個々の戦力自体が貧弱であり、あげく機動力、要素間を横断し連結するそれが欠如しているのではないかと愚考する。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上