ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ファイアー・ツイスター

f:id:public-technocut:20190607191311j:plain

あらすじ

「二兎を追う者は一兎をも得ず」

 

 石油を超える新型ハイパー水素系燃料の貯蔵タンクがライバル企業の雇ったPMCに爆破された!タンクから解き放たれた燃料は燃え盛る「ファイアー・ツイスター」と化し人々を襲う。偶然その場に居合わせた環境保護団体の4人組は爆破の濡れ衣を着せられ、PMCから命を狙われながらも、ファイアー・ツイスターに立ち向かってゆく。

 

 本作が指した悪手はファイアー・ツイスターに加えて傭兵まで出したところだろう。数を出した分質が低下する。メインを張るファイアー・ツイスターの脅威が減殺されてしまうのだ。その減殺分を傭兵が補ってくれるかといえばそうではない。傭兵を名乗る、整形顔のオバハンがオモチャ丸出しの銃を振り回す。弾は一発も当たらない。サバゲー以下の緊迫感である。

 

 私の拙い愚考にすぎないが、ただでさえ資源の少ない低予算映画は、資源(戦力)の集中により突破点を見出すべきである。資源が無いのに手を広げすぎるとどうなるか。それは偉大なる大日本帝国軍が教えてくれるだろう。

 

 気を取り直してパッケージの主役を張るファイアー・ツイスターに目を向けよう。その出来はこの手の映画として標準的なもの、具体的に言えばプレステ2レベルのCGである。CGの粗さをカバーするためにロングショットが多用されるが、大してカバーになっていない所が泣けるポイントである。

 

 クロースショットでは、より大きく見えるはずのファイアー・ツイスターが逆により小さく見えるという逆転現象が生じている。至近距離から鑑賞に堪える大規模CGを作る金がなかったことは自明。PMCなんか出さずにその金でCGをマシにすればよかったんだ。愚痴を言っても始まらないので良いところを見よう。そんなものは無い。あえていえばクロースショットにおいては何故かファイアー・ツイスターがオッサン個々人をターゲットにして追跡し各個撃破していたのが気にかかった。まあ群集が襲われる大規模罹災シーンを描く金が無かったのだろう。だからPMCなんか(略)。

 

 途中で主人公たちの仲間になる技術者のオッサンは、「技術者」という尊敬に値する知的身分設定を鼻くその様にほじり捨てる。彼は4WDでファイアー・ツイスターの中に特攻し死亡する。主人公のオッサンは「理論は間違っていない」とほざくが、あれのどこに理論があったんだと叫びたい。主人公は元消防士のコネを使い消防車にC4爆薬とガソリンを満載してファイアー・ツイスターに特攻、爆発オチでハッピーエンドである。火に油を注いで解決ってなんなんですかね。

 

 唯一評価できるのはコミカルな勧善懲悪天誅シーンである。タンク爆破の黒幕、ライバル企業のCEOは「ワシは助かるんじゃぁ」とゼイゼイ言いながら駆け回るも眼前でヘリを墜とされ最後は爆風で飛んできた斧によって絶命する。主人公たちの道中を狙う火事場泥棒のジジイも様式美である。彼はショットガンを構え「これは神の神罰だ」「俺は神に選ばれた」と演説した後、神の見えざる手により焼死した。

 

 いろいろボロクソに書いた気もするが、本作は全体的に残念な水準の作品の模範と言えばいいすぎかもしれないが、それでも、そのポンコツぶりを楽しめる、反面教師的な娯楽作品である。

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上