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満州帝国崩壊 -ソビエト進軍1945-

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あらすじ

「1945年8月、ソビエト赤軍VS関東軍の壮絶な戦いが始まる!!(パッケージより抜粋)」

 

 時は暁、空に多重投影された白色の虹が、金切り声と共に大地に接吻する。俗に「スターリンのオルガン」と呼ばれるそれを合図にして、戦車隊が地上を蹂躙する。見渡す限りのT-34/85。旧日本軍の抵抗は無いも同然、かと思われた。

 

 しかしそれは間違いだった。旧日本軍は決死隊を編成し、巧妙に隠蔽された陣地内でソ連軍を待ち受けていたのだ。突如響き渡る砲声。旧日本軍のオートマチック・カノンがソ連戦車を滅多打ちにしている。機関銃も唸りを上げてソ連兵をなぎ倒す。

 

 初動の混乱から立ち直ったソ連軍は反撃に転じる。旧日本軍の増援を食い止めるべく、若き戦車兵は体当たり攻撃でその身を散らす。陣地攻撃隊は暗闇の中、至近距離で敵と銃撃戦を演じる。サブマシンガンの曳光弾は電灯代わりだ。この戦いに勝者はいない。なぜなら弾薬庫の誘爆でどちらも吹き飛んでしまったからだ。

 

 死んだ。厳しかった軍曹も、親父みたいだった老兵も、みんなから好かれていた看護婦も、部隊の大半が死んだ。かろうじて生き残るもシェル・ショックで口がきけなくなった部下を見た時、やり場のない怒りが爆発する。大隊長は腰の拳銃を引き抜き、地面に全弾を叩き込む…

 

 とまあ、こんな風にまとめて思い返すに、本作は普通にまともな出来の悲しめな戦争映画である。特にあげつらったり追及すべき点は見当たらない。あるとすれば当ブログおなじみの「キモオタによる銃火器の設定ネチネチコーナー」ぐらいであろうか。例えばソ連兵がPPSh-41しか装備していない点がおかしいとか、旧日本軍のオートマチック・カノンって何やねんとか。

 

 そう、この映画に限った話ではないが、太平洋戦争を扱った映画でよく発生しているのが「旧日本軍強すぎ問題」である。『シン・レッド・ライン』では日米の攻防形勢が逆転してるし、『ウインドトーカーズ』では野戦で互角の撃ち合いやってるし。まあ『ウインドトーカーズ』はそれ以前の問題か。何が「ホリョダ!」だよ。それを考えれば本作はまともな部類だろう。本作でおかしいのは旧日本軍の対戦車火力が高い点ぐらいである。

 

 しかし本ブログの読者が「旧日本軍の対戦車火力は高かったんだ」などと愚かな誤解をしてはならないので、実際はこんなもんだったんですよという一文を今手元にある書籍から引用して筆をおく。いいですか、オートマチック・カノンなんてなかったんですよ!

 

 ――日本の歩兵は効果的な対戦車兵器をもたず、火薬を詰めた雑嚢を近距離から投げるといった、いくら勇敢ではあっても実質は自殺行為に等しい方法で対抗した。

ティーブン・ザロガ著『M3&M5スチュアート軽戦車 1940-1945』

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上