ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ロスト・ヴォイジャー

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あらすじ

「開拓星を探すため地球を旅立った12人の宇宙飛行士達。不時着した惑星でエイリアンの魔の手が彼らを襲う!」

 

 宇宙船のベッドに宇宙飛行士達が横たわっている。宇宙服のつもりだろうか、安っぽいサウナスーツが観る者を落胆させる。彼らは人工冬眠から目覚めたばかりで筋力が回復していないという状況だ。そこに類人猿型エイリアンがやってきてメンバーを1人ずつさらって捕食してゆく。手も足も出ない、自由が「制限」された状況が恐怖を増幅させる。

 

 何とか起床に成功した彼らは銃を入手しエイリアンを射殺する。しかしエイリアンは他にもいた。奴らは不時着した宇宙船の周囲にドーム型のバリアーを張り、地球人を観察していたのだ。行動の自由が「制限」されるなか、生き残りの宇宙飛行士達はトンネルを掘り脱出、銃撃戦を演じた上、宇宙船を爆破しエイリアンを一掃する。そして水を発見した彼らはこの星で生きていくことを決める…。

 

 本作は特に質が高いわけでもない対エイリアン映画である。注意を向ける箇所があるとすれば、それはコントラストだろう。宇宙飛行士達は開拓星を探している。それは新天地でありすなわち「自由」である。上述したように、それを得ようとする過程で彼らの自由は常に「制限」を受ける。これによりラストで自由を手にした際のカタルシスが強調されるわけだ。だからといって本作のラストが評価できるかといえば答えはNoだ。なにせ、そこら辺の小川か何かがちょろちょろと流れている映像をサッと流しただけでFinなのだから。カタルシスを強調するといっても母数が0に近ければどうしようもないことはいうまでもないだろう。

 

 自由が「制限」される描写もやりすぎ感が否めない。登場人物たちが我社畜絶賛出張中的カプセルホテル空間に閉じ込められバケモノに襲われるシーン。1人目が食べられる。悲鳴、キャアアアア!。2人目が食べられる。悲鳴、キャアアアア!3人目が食べられる。悲鳴、キャアアアア!4に、もうええっちゅうねん!

 上述したシーンofキャアアア!はおよそ30分間上映される。なお本作全体の上映時間は79分である。長距離走で言えば明らかなペース配分ミスであろう。

 

 登場人物多すぎ問題も炸裂している。隊長をはじめ医師、牧師、生物学者、技術者、いろんな人間が乗っている設定なのだが、彼らはその特技をロクに披露することもなく半数が昇天する。かろうじて生き残った連中もただ銃を撃つだけの十把一絡げ18世紀戦列歩兵と化す。作中冒頭『24』みたいに画面を小分けにして1人1人コメントしてアピっていた彼らは一体何だったのだろうか。

 

 宇宙人周りの美術も大概である。本作における宇宙人とは、ドン・キホーテで売ってそうなゴリラのマスクを被ってロケット花火を銃替わりに振り回している存在である。近所のオッサンに殴られたら普通に死にそうなクオリティで悲しくなる。バリアーは砂で薄汚れて傷がついたただのプラ板。近所のオッサンが殴ったら普通に割れそうで悲しくなる。

 

 低予算の中で頑張ってはいるのだろうが、残念ながら評価すべき点は特に見いだせない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上