ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

アサルト デーモン

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あらすじ

「着ぐるみがハッスルする」

 

 舞台は脱獄不能のハイテク更生施設。そう言われて映し出されたのは荒れた工業高校みたいなボロい建物。最初から不安しか覚えないのはこの業界のいいところである。その施設にルーマニア人のオッサンがやってきて変な儀式をおっぱじめる。その動きはキモく意味不明である。五体投地をスローモーションや早送りで長々と見せられる。一体何の時間を表現したいんだと脳内で野次が飛び交っているとルーマニア人は無事バケモノ化する。

 

 バケモノが人をバクバク食べるシーン、無駄に長い。おそらくは尺稼ぎだろう。一応、バケモノは人の血液を摂取することで強くなるという設定が後に明らかにされるのだが、問題はバケモノが最初から最後まで特に強化された描写が無い点である。終始ウホウホ言いながら腕振り回しているだけ…。

 

 主人公の女看守は「政治思想が原因で不名誉除隊になったから看守になった」というわけのわからん設定の持ち主である。もちろんこの設定は全く生かされることはなかった。特典映像内で脚本家は「強い女性を描きたかった」とほざいておられるが、彼女が作中で強さを見せたシーンは全く無い。

 

 登場人物については全般的に苦言を呈したい。例えば悪魔崇拝が原因で教会から破門された元神父という強烈なバックボーンを持つキャラクターが作中披露する特技がただの日曜大工だったりするのはまだマシな方である。恐ろしいのはマッチョ黒人の設定だ。彼は金玉が1つ欠けているのである。冗談でもふざけてもいない。金玉が欠けているのである。しかもそのストーリー上何の関係もない情報はモノローグ入りで詳細に語られる。

 

――彼は金玉が1つ無いの…。幼少期、近所の犬が彼に噛みついて金玉が1つ無くなったの…。そのせいで彼は荒れてケンカに明け暮れる日々を送り、そのうちこの施設へ…。

 

 バケモノがせまりくる、本来なら緊迫感が支配すべき空間でこのモノローグである。もうちょっと何とかならんかったんか。ふざけんな。なめとんか。

 

 ラストはバケモノをガス室へおびき出し毒ガスで倒す作戦を実行する。なぜ更生施設にガス室があるんだということはこの際我慢しよう。毒ガス作戦は成功、バケモノは苦しみ悶えてノックダウンする。滅せぬもののあるべきか、毒ガスの窮屈さが窓ガラスを使ったフレーム・イン・フレームで表現される。多少は絵になったかなと思ったのもつかの間、バケモノはいきなり主人公たちの眼前にテレポートしてウホウホ言い出す。

 

 これに対して主人公は「バケモノが能力発動のために使う秘術のペンダントを、予備知識もないのに正確無比にはぎ取って倒す」という離れ業を見せる。もうなんでもありである。

 

 本編83分に加え特典映像8分、計91分もの映像を見て、記憶にこびりついたのが金玉のくだりだけと言えば、本作の愚かさが伝わるだろうか。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上