ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

BAD女ガール

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あらすじ

「先祖代々泥棒してきた連中が内ゲバで壊滅する」

 

 本作で視聴者の心を打つのは父娘が和解するシーンである。普通のオンナノコとしてパーリーピーポーしたい娘に対して親父は「子が親の言うことを聞くのは当たり前だ」の一点張りを邪悪な印籠として彼女を無賃労働させる。そんな2人の対立は何か知らんうちに解消される。死にかけた親父が適当に娘への愛を呟き、娘は涙を流す。とりあえず泣けばすべて丸く収まるんだろという考えが正義であるならば、国際社会は徳光和夫を事務総長にして核なき世界を実現できるだろう。

 

 アクションシーンも迫力満点だ。収縮した筋肉の爆発力から生まれる速度と重量、その全てを本作は欠いている。ピクリともしない体幹ノロノロ、プラプラと揺れる手先足先、何の体術指導も受けていないことがよくわかる。加えてポカッだのトスッだのいう軽薄な効果音が淀んだアクションに終止符を打つ。

 

 話のテンポは冗長だ。やたらと粘っこくセリフをゆっくり読んだり、同じセリフを繰り返したり話が一向に進まない。もちろん反復という技法の存在は知っているが、それにしてもチンピラが「なにやってんのぉぉ!」と叫びながらヤクザの尻に拳銃を突っ込み記念写真を撮りまくるシーンのどこから技法の粋を感じ取ればいいのかは不肖にしてわからなかった。

 

 冗長さの犠牲となった登場人物は親父である。おそらくは尺稼ぎのためだろう、彼は致命傷を受けたと思ったら復活して反撃するという芸当を反復して行う。この反復技法から私が感じ取ったのは親父はゾンビかという冷めた分析だけである。なにせ彼はナイフによる刺突を4撃、.38スペシャル弾による銃撃を2発受けながらサバイブしているのだから。こんなのもうシルバニアファミリー・アンガウルの汚いお家(某軍曹付)じゃないか。

 

 小道具の凝り方も一見の価値有である。暗闇の中で行動するからナイトビジョンを用意したぞと言われて出てきたのがただのサングラスだったときはおもわず「なめとんか」と口に出してしまった。拳銃もひどい。装填シーンを見て即座に理解したが、その銃はコクサイのS&W M36である。ブロップガンでもない市販のモデルガンを使うとは!道理で銃声がしょぼかったはずだよ!あれ確か5mm火薬キャップ使用だったはずだ。そんなもんで…。本作はBADな女ではなくBADな頭の製作陣によって作られた燃えないゴミである。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上