あらすじ
核戦争で荒廃した世界で細々と生きている人類。しかし人あるところに貧富の差はあり、そんなブルジョワのジジィは主人公のオッサンに「美術品をパクってこい」と依頼を出す。そして編成された強襲部隊が美術館でえらい目に合うというのが本作のプロットである。
注目すべきは装備だろう。Amazonで2,000円も出せば買えそうなちんけなフリッツヘルメット、ベストはバイク野郎のプロテクターを黒く塗って赤いストローをぶっ刺した様な形態である。端的に言えばハロウィンのコスプレと同レベルである。
戦闘シーンはこの手の映画が得意とする伝統技法にのっとって整然と行われる。それすなわち「棒立ちで叫びながらライフルを撃つ」である。ルンバの出来損ないみたいなのがちょろちょろしながら波動砲を撃ってくるスピーディーなシーンや、隊員たちが「シャドウ部隊だ!姿が見えない!」と叫びながら虚空へ発砲するブリリアントなシーンからは諦めの感情を感じ取らなければならない。
魅力的な登場人物たちが本作に色を添えてくれる。彼らは経験と肩書を持ちそれは「潜入のプロ」だの「狙撃の達人」だの「特殊工作技能員」といった言葉で表現される。しかし彼らがそれら個性を生かすシーンは皆無である。ただライフルを撃つだけの自立砲台。脇役が雑な作品をどう評価するか。あえて語るまい。
一番のツッコミどころはタイトルにもなっているエンクリプトである。それは美術館防衛システムのAIで、アジア人女性の姿をホログラム投影して出現する。彼女は「あなた達の命が大切なの」「あなた達を傷つけたくないの」と言いながら隊員たちをブチ殺しつつ主人公のオッサンと心を通わせていく。どういう展開だよ。ラストは主人公のオッサンもAIになってエンクリプトと仲良く暮らしましたとさである。もう好きにしろよ。
本作の唯一の良心は銃声である。それは腹に響く重厚さを感じ取ることができる。そして偶然か本作の単調な戦闘シーンがその魅力をアップさせてくれる。単調に銃を撃つだけ、それが意味するのはセミオートではなくフルオートである。ズドドドドドと響く銃声のヒーリング効果が無ければ本作の視聴は辛いものがあったかもしれない。
総合評価・星2つ(500円の価値無)
★★☆☆☆
以上