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アイスソルジャー

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あらすじ

「冷戦時代にソ連によって生み出された遺伝子改造強化人間3体が50年の時を超えて復活する。彼らの目的はニューヨークでテロを起こすこと。彼らを止めるべく科学者と猟師が立ち上がる!」

 

 強化人間3人組は、カナダ軍の基地をボコボコにしたりPMCをボコボコにしたり民間人をボコボコにしたりする。これだけ暴れまくっている割には、彼らに対する恐怖心がこみ上げてこない。それは恐らく彼らの知性に由来するだろう。「カナダの北極圏を経由してアメリカ国境を越えニューヨークに向かうぜ。徒歩で。」このネイチャーをナメた行動指針に基づき、道中彼らは無事遭難、行動不能となり自然による50年間の強制コールドスリープを甘受するのである。世間ではこういう連中のことをバカと呼ぶのである。ニューヨークでテロを起こすのが目的のはずなのに、愉快犯的にそこらの村を襲うWhyも彼らの知能指数に対する疑問を提起してくれる。彼らは特殊部隊というより山賊である。

 

 行動原理と言えば、アホ3人組は「男は殺し、女は犯す」というルールを守っている。これはいただけない。もちろん、レイプなんて不謹慎な!というわけではない。その行為が特殊部隊員としての怖さを減じるからだ。高い練度と鉄の規律を備えてこその精鋭だろう。それが敵地でのんびりパコパコなんぞアホの極みである。おそらくこの設定は残忍さをアピールしようとしたものだと推察するがとても評価できない。むしろ任務のためなら女「も」ためらいなく殺すという方がよっぽど恐ろしいと思うがいかがだろうか。

 

 戦闘シーンも迫力満点だ。猟師とアホが追いかけっこするシーンなぞ、薄くなっている氷を踏み抜いて両者水中に落ちて痛み分けみたいなどうしようもないシーンが展開される。『はだしのゲン』で肥溜めに落ちたババアがモニターに映っているといえば少しは伝わるだろうか。停電した警察署で筋肉ムキムキのアホがM16を乱射して警官相手に無双するシーンがどこからどうみてもオリジナルであることはI’ll be backである。

 

 小道具についても甘さが残る。科学者のオッサンがベレッタを撃っていると思ったら次のシーンではそれがグロックにすり替わっている。どうやったらこの2つを取り違えるのか聞きたくてしょうがない。1962年のシーンでバカ3人組がベレッタ92Fを発砲するシーンは局地的タイムマシーンだ。時代考証の脇があまい。同じ場面で登場するカナダ軍兵士はちゃんと時代通りFALやスターリンSMG武装しているのに。

 

 バカ3人組の襲撃前、風で大型テントの襞がバタバタと羽ばたくところ、この演出だけは良かった。心がざわざわする。どんな恐ろしい敵が現れるのだろう。まあフタを開けてみればアレだったわけなのだが。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上